第41話 『世界への招待状』
日本モデルショーから一週間。
M&M COMPANYの勢いは止まらなかった。
SNSフォロワーは急増。
ブランド商品の売上も過去最高。
新人モデルたちの応募数も一気に増えていた。
会社全体が活気に満ちている。
朝。
本社最上階。
社長室。
美優は書類に目を通していた。
コンコン。
真衣が入ってくる。
「失礼します」
「おはよう」
「おはようございます」
真衣の表情は少し興奮していた。
手には一通の封筒。
見たことのない海外のロゴが入っている。
「これが届きました」
美優が受け取る。
封を開ける。
中には英語で書かれた招待状。
数秒後。
美優が固まった。
「……え?」
真衣も笑う。
「私も最初同じ反応でした」
そこへ真優と麗華も呼ばれる。
三人で招待状を読む。
そして。
真優が叫んだ。
「嘘でしょ!?」
麗華も珍しく驚いていた。
「本物?」
「みたい」
招待状の差出人。
それは世界最大級のファッションイベント。
『WORLD FASHION COLLECTION』
開催地は――
Paris。
世界中のトップモデルが集まる夢の舞台だった。
「参加依頼……?」
真優が何度も読み返す。
「しかも指名」
麗華が言う。
招待状にはこう書かれていた。
M&M COMPANYの三名を特別ゲストとして招待します。
部屋が静かになる。
数か月前。
まだ設立したばかりの会社だった。
それが今。
世界から声をかけられている。
真優が言う。
「なんか実感ない」
「私も」
美優も頷く。
しかし。
麗華だけは違った。
窓の外を見ながら微笑む。
「来たね」
「?」
「世界への切符」
その言葉に。
全員の表情が引き締まった。
数日後。
記者会見。
M&M COMPANY本社。
報道陣が集まる。
カメラ。
テレビ局。
ネットメディア。
会場は満席だった。
美優がマイクを持つ。
「このたび」
「WORLD FASHION COLLECTIONへの参加が決定しました」
会場がざわめく。
記者たちが一斉にメモを取る。
「開催地はパリです」
「美優さん、世界進出についてどう思いますか?」
記者が質問する。
美優は少し考えた。
そして答える。
「不安もあります」
「でも」
「楽しみの方が大きいです」
その言葉に拍手が起こった。
会見終了後。
SNSでは再び大騒ぎ。
『M&M COMPANY世界進出』
『美優たちがパリへ』
『日本代表モデル誕生』
トレンド入り。
ニュース速報。
海外メディアも反応し始めていた。
夜。
会社会議室。
大きな世界地図。
パリの位置に赤い印が付けられている。
真優が地図を見る。
「本当に行くんだね」
「うん」
美優が答える。
麗華も腕を組む。
「負ける気はない」
「それいつも言うね」
真優が笑う。
「だって本気だもの」
麗華も笑った。
その時。
玲美愛が会議室へ入ってくる。
「みんな」
「?」
「朗報」
全員が振り向く。
玲美愛は一枚の資料を見せた。
そこには大きく書かれていた。
『海外ブランド共同プロジェクト候補』
部屋が静まり返る。
「パリでのショーだけじゃない」
玲美愛が言う。
「向こうで契約の話もあるかもしれない」
美優たちは顔を見合わせる。
つまり。
これは単なるモデル活動ではない。
会社の未来を左右する挑戦だった。
会議終了後。
美優は一人で屋上へ向かった。
夜風が吹く。
東京の街が広がっている。
ここから始まった。
モデルとしての夢。
社長としての夢。
仲間との夢。
そして今。
その夢は海を越えようとしていた。
美優は空を見上げる。
遠く。
まだ見ぬ世界。
まだ会ったことのない人々。
新しい舞台。
新しい挑戦。
胸が高鳴る。
「待ってて」
誰に向けた言葉なのか。
自分でも分からない。
でも。
確かに思った。
世界へ行こう。
もっと遠くへ。
もっと大きな夢の先へ。
M&M COMPANYの新たな挑戦が――
今。
始まろうとしていた。
第42話へ続く。




