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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第37話 『最初の所属タレント』

M&M COMPANY設立から二か月。

会社は順調だった。

モデル部門。

俳優部門。

ブランド部門。

お菓子部門。

どの事業も予想以上の成果を出している。

だが。

美優には一つ気になっていることがあった。

社長室。

朝。

真優が資料を持って入ってくる。

「これです」

机の上に置かれた書類。

美優が目を通す。

そこには大きく書かれていた。

新人所属オーディション最終候補者一覧

美優は静かにページをめくる。

写真。

プロフィール。

実績。

志望理由。

数百人の応募者の中から選ばれた十名。

真優が言う。

「今日が最終面接」

「うん」

「緊張してる?」

美優は首を横に振る。

「楽しみ」

その答えに真優が笑った。

「美優らしいね」

午前十時。

面接会場。

広い会議室。

候補者たちが緊張した表情で座っている。

高校生。

大学生。

社会人。

年齢も経歴も様々だった。

美優は一人ひとりの話を聞いていく。

「なぜモデルになりたいんですか?」

「自信がない自分を変えたいからです」

「なぜ俳優を目指すんですか?」

「誰かの心を動かせる人になりたいからです」

真剣な言葉。

夢。

希望。

不安。

様々な感情が伝わってくる。

美優は全員の話を最後まで聞いた。

途中で遮ることもない。

否定もしない。

ただ真っ直ぐ向き合った。

面接終了後。

選考会議。

スタッフたちが話し合う。

「この子は経験があります」

「この子はSNS人気があります」

「将来性ならこちらです」

様々な意見が飛び交う。

その中で。

美優はある一枚のプロフィールを見つめていた。

名前は――

天野結衣。17歳。

経験なし。

芸能活動歴なし。

SNSフォロワー数も少ない。

だが。

志望理由の欄に書かれていた。

「誰かに憧れて終わるのではなく、自分も誰かの希望になりたいです」

その一文が美優の心に残っていた。

「決まりました」

美優が言う。

会議室が静かになる。

「天野結衣さんを採用したいです」

スタッフが驚く。

「経験はありませんよ?」

「分かっています」

「即戦力ではないかもしれません」

「それでも」

美優は微笑む。

「伸びると思う」

その言葉には確信があった。

真優も頷く。

「私も賛成」

玲美愛も笑う。

「美優がそう言うなら期待できそう」

こうして。

M&M COMPANY最初の所属タレントが決定した。

翌日。

本社。

結衣がやって来る。

緊張で顔が固まっている。

受付で何度も頭を下げていた。

「だ、大丈夫かな……」

その時。

後ろから声がした。

「天野さん?」

振り返る。

そこにいたのは美優だった。

結衣の目が大きく開く。

「み、美優さん!?」

「おはよう」

「お、おはようございます!」

緊張しすぎて声が裏返る。

美優は少し笑った。

「そんなに緊張しなくて大丈夫」

「で、でも……」

「今日から仲間だから」

結衣は言葉を失った。

憧れだった人。

テレビで見ていた人。

その本人が目の前で笑っている。

思わず涙が出そうになる。

レッスンルーム。

結衣の初日。

ウォーキング。

姿勢。

表情。

発声。

基礎から始まる。

何度も失敗する。

転びそうになる。

思うようにできない。

それでも。

結衣は諦めなかった。

汗だくになりながら挑戦を続ける。

その姿を見ていた美優が言った。

「いいね」

真優が聞く。

「何が?」

「目」

「目?」

「諦めてない」

真優は結衣を見る。

確かにそうだった。

悔しそうでも。

苦しそうでも。

目だけは前を向いていた。

夜。

レッスン終了。

結衣は疲れ切っていた。

帰る準備をしていると。

自動販売機の前で美優と出会う。

「お疲れ様」

「お疲れ様です!」

美優はスポーツドリンクを渡した。

「ありがとうございます!」

結衣は深く頭を下げる。

そして。

勇気を出して言った。

「私……」

「うん」

「絶対に頑張ります」

美優は少し驚いた後。

優しく笑った。

「知ってる」

「え?」

「もう頑張ってるから」

結衣の目に涙が浮かぶ。

憧れの人に認められた。

その事実だけで。

胸がいっぱいだった。

その頃。

誰も知らない場所。

ある芸能事務所。

テレビにはM&M COMPANYの特集が流れていた。

一人の女性が画面を見つめている。

長い黒髪。

鋭い瞳。

美優と同年代。

彼女は小さく呟いた。

「面白そうじゃない」

机の上には芸能誌。

表紙には美優。

女性は不敵に笑う。

「会ってみたいな」

その笑顔は美しかった。

だが。

どこか危険な雰囲気もあった。

美優たちがまだ知らない。

新たな出会い。

そして――

新たなライバルの存在が。

静かに動き始めていた。

第38話へ続く。

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