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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第21話 『肩書きが増えた日』

公開から一ヶ月。

『MIYU ORIGINAL APPAREL PROJECT』は、想定を超えて広がっていた。

売上や話題性だけじゃない。

“美優という存在そのもの”の扱われ方が、変わり始めていた。

都内・ブランドオフィス。

新しい名刺がテーブルに並ぶ。

そこに書かれている文字は、前と違っていた。

美優

実業家 / 女優 / インフルエンサー

マネージャーが言う。

「正式に、これでいきます」

プロデューサーも頷く。

「もう“モデル”ではないですね」

美優は名刺を指で軽くつまむ。

「増えすぎじゃない?」

少し笑う。

でも、その笑いは軽くない。

(実業家)

(女優)

(インフルエンサー)

どれも“本当”ではある。

でも、どれも“全部ではない”。

スマホが鳴る。

真優から。

『また肩書き増えた?』

美優は少しだけ息を吐く。

『知ってるんだ』

すぐ返信。

『ニュースになってた』

短い沈黙。

『すごいね、美優』

その言葉を見て、美優は少しだけ目を細める。

「すごい、か」

小さくつぶやく。

その夜。

インタビュー撮影。

カメラの前。

記者が質問する。

「今の自分を一言で表すと?」

美優は少し考える。

「……面倒な人間、かな」

現場が少し笑う。

でも続けて、真顔で言う。

「やることが増えただけで、中身はあんまり変わってないです」

帰り道。

夜の東京。

SNSはまだ騒がしい。

「実業家ってガチすぎる」

「女優もやってるの?」

「どこまで行くのこの人」

でも美優は見ない。

そのとき、また真優からメッセージ。

『こっちも正式決まった』

美優は足を止める。

『映画、主演候補』

一拍。

『やっと同じくらいの場所来たかも』

美優は少しだけ空を見上げる。

『違う』

送信。

すぐ既読。

真優から返事。

『違う?』

美優は歩き出す。

『同じじゃなくていい』

『並んでるだけでいい』

既読。

でも返信はすぐ来ない。

少し遅れて。

『それ、ずるい言い方』

美優は笑う。

「ずるい、か」

でもその言葉は、もう悪い意味じゃなかった。

スタジオ、ブランド、映画、SNS。

それぞれの世界が勝手に動いていく。

でもその中心にいる“美優”は、もう一つの存在になっていた。

実業家であり、女優であり、インフルエンサー。

そして何より。

誰かと並んで立つことを、もう怖がらない人間になっていた。

第21話 完

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