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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第10話『届かない数字』

――海外・ロサンゼルス。

武田真優は、ホテルの一室で静かに画面を見つめていた。

そこに表示されているのは、最新の業界レポート。

「出演料ランキング」

その中で、自分の名前は――

3,500万円

思わず指が止まる。

「……3,500万」

決して低い数字ではない。

むしろ、異常なほど高い。

それでも。

その少し上にある名前を見た瞬間、呼吸がわずかに詰まった。

――日本。

撮影スタジオの控室。

美優は、何気なくマネージャーの話を聞いていた。

「次の契約で、年収ベース1億超え確定だね」

「……え?」

軽く言われた言葉が、すぐには理解できない。

マネージャーは続ける。

「今のCM単価だと、1億4,500万くらいまでいく」

「1億……4,500万?」

美優は笑っていいのか分からない顔になる。

「それ、数字おかしくない?」

「おかしいのは業界の方」

あっさり返される。

同じ日。

――海外。

武田真優はニュース記事を開いていた。

そこにはこう書かれている。

『日本CM業界トップ女優・美優、年間契約1億超え』

しばらく、画面を見つめる。

「……1億4500万」

声に出した瞬間、現実になる。

手元のコップを握る力が少しだけ強くなる。

(同じスタートだったのに)

その言葉が、頭の奥で静かに響く。

その夜。

武田真優は、ベッドに横になっていた。

天井を見上げる。

「別に、比べる意味ないのに」

そう言い聞かせる。

でも、心は少しだけ違う方向を向いていた。

スマホが鳴る。

メッセージ。

『MIYU:次のCMまた決まった』

短い報告。

その軽さが、逆に現実を突きつけてくる。

真優は少し間を置いて返信する。

『すごいね』

送信。

すぐに既読。

でも、そこから会話は続かない。

その画面を見ながら、真優は小さく息を吐く。

「……追いつけてない、ってこと?」

言った瞬間、自分で否定する。

「違う」

でも、否定しきれない。

同時刻。

日本。

美優もまた、スマホを見ていた。

海外ニュース。

『MAYU TAKADA continues global rise』

その文字を見て、少しだけ黙る。

「そっちはそっちで、やばいじゃん……」

小さく笑う。

でも、その笑いは長く続かなかった。

(なんで、同じなのに遠いんだろ)

誰にも言えない疑問が、同じタイミングで二人の中に生まれていた。

数字はただの評価のはずだった。

でもその日。

3,500万と1億4,500万は――

二人の間に、初めて“比較”という影を落とした。


第10話 完


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