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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第4章 世界挑戦 第1話『はじまりのフライト』

――翌週。

早朝の空港は、まだ完全に目を覚ましていなかった。

ガラス張りの天井から差し込む薄い光と、スーツケースの転がる音だけが静かに響いている。

真優はその中に立っていた。

「……本当に、行くんだ」

手にはパスポート。

肩には小さなバッグ。

そして足元には、初めて見るほど大きなキャリーケース。

その横には、見送りに来た三人。

美優、葵、玲奈。

美優はいつもの勢いが少しだけ弱い。

「なんかさ、実感ないんだけど。海外って……普通に遠いよね?」

「今さらすぎる反応ですね」

玲奈が淡々と返すが、その目は少しだけ落ち着きがない。

葵は真優のキャリーケースを見て苦笑した。

「それ、詰め込みすぎじゃない?絶対半分いらないやつあるでしょ」

「わ、分かってるけど……不安で……」

真優は小さく笑った。

その時、アナウンスが流れる。

『まもなく、国際線〇〇便は搭乗を開始いたします』

空気が一段階、変わった。

――来た。

現実の「出発」の音だった。

美優が一歩近づく。

「真優」

いつもより静かな声。

「ちゃんと帰ってきなよ」

真優は少し驚いて、それから頷いた。

「うん。ちゃんと帰る」

葵が軽く手を上げる。

「向こうで倒れんなよ。主演様」

「プレッシャーかけないでよ……」

玲奈は小さく微笑んだ。

「あなたなら大丈夫です。……たぶんじゃなくて、確信です」

その言葉に、真優の胸が少し軽くなる。

――搭乗口が開く。

「それじゃあ……行ってくる」

真優は一度だけ振り返り、そして歩き出した。

機内。

窓の外には、少しずつ小さくなっていく日本の街。

雲がゆっくりと流れている。

シートベルトを締めながら、真優は小さく息を吐いた。

「……ほんとに始まっちゃった」

怖さはある。

でも、それ以上に。

胸の奥が静かに熱い。

その時、隣の席にスタッフが座る。

「緊張してます?」

海外イベント担当のスタッフだった。

真優は少し考えてから答えた。

「緊張してます。でも……楽しみでもあります」

スタッフは軽く笑う。

「いいですね、その感じ。海外初参加で一番強いタイプですよ」

「そうなんですか?」

「ええ。怖さがゼロの人は伸びないし、怖さだけの人は動けない。でも、あなたは両方ある」

真優は窓の外を見た。

雲の上は、思ったより静かだった。

そして数時間後。

飛行機は、ゆっくりと降下を始める。

アナウンス。

『まもなく現地空港に到着いたします』

窓の外に広がるのは、日本とはまったく違う街。

高いビル群。

広い滑走路。

見知らぬ言語の看板。

真優は目を細めた。

「……ここが」

世界の入口。

飛行機が地面に触れた瞬間、わずかに衝撃が走る。

カタ、と音がして、現実に戻る。

でももう、戻る場所は違う。

扉が開く。

冷たい空気が流れ込んだ。

真優はゆっくりと立ち上がる。

その一歩目は、思っていたより重くて――それでも確かだった。

「スターライト・クロニクル、海外編……」

小さくつぶやく。

そして彼女は、初めての世界へと足を踏み出した。


第1話 完

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