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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第97話 『一人で立つステージ』

『スターライト・クロニクル』の発表会から数日後。

真優はアフレコ収録へ向かっていた。

主演として忙しい日々。

覚えることも多い。

だが充実していた。

そんなある日。

美優から突然メッセージが届く。

『今すぐ事務所来て!!』

真優は首を傾げた。

『どうしたの?』

返信は一言。

『大事件!!!』

―――

その日の夕方。

いつもの四人が事務所近くのカフェに集まった。

美優はなぜか落ち着きがない。

ソワソワしている。

真優が聞く。

「で、何があったの?」

美優は立ち上がった。

そして――。

「CM決まった!!」

「え?」

真優たちは目を丸くする。

美優は満面の笑みだった。

「スポーツドリンクのCM!」

玲奈が驚く。

「CMですか!?」

葵も目を見開く。

「凄いじゃん」

美優は勢いよく頷いた。

「しかも全国放送!」

一同が固まる。

全国放送。

それは新人声優にとって大きな仕事だった。

―――

だが。

美優は少しだけ表情を曇らせた。

「実はね……」

真優が首を傾げる。

「どうしたの?」

美優は苦笑した。

「これ初めてなんだよね」

「何が?」

「真優がいない大きな仕事」

空気が少し静かになる。

確かにそうだった。

今まで四人は同じ作品やイベントで一緒になることが多かった。

特に真優と美優は何度も共演している。

だが今回は違う。

完全に一人。

自分だけで挑む仕事だった。

―――

「不安?」

葵が聞く。

美優は少し考えた。

そして正直に答える。

「うん」

珍しい。

いつも明るい美優が弱音を吐くのは珍しかった。

「失敗したらどうしようとか」

「ちゃんとできるかなとか」

「いっぱい考える」

真優は静かに聞いていた。

そして笑う。

「大丈夫だよ」

美優が顔を上げる。

「え?」

「だって美優だもん」

「どういう意味!?」

全員が笑った。

―――

真優は続ける。

「今までだって頑張ってきたじゃん」

「オーディションも」

「収録も」

「新人賞だって取った」

美優は黙って聞く。

「だから今回は自分を信じればいい」

その言葉に。

美優は少しだけ肩の力が抜けた。

―――

CM収録当日。

スタジオ。

美優は一人で現場にいた。

監督。

スタッフ。

カメラマン。

多くの大人たち。

いつも隣にいた真優はいない。

葵も。

玲奈もいない。

本当に一人だった。

緊張する。

だが。

ふと思い出す。

昨日の言葉。

『自分を信じればいい』

美優は深呼吸した。

「よろしくお願いします!」

元気よく挨拶する。

スタッフたちも笑顔で応える。

現場の空気が少し和らいだ。

―――

撮影開始。

走る。

笑う。

スポーツドリンクを飲む。

爽やかな笑顔を作る。

何度も撮り直し。

何度も挑戦。

決して簡単ではない。

それでも。

美優は諦めなかった。

全力でやり切った。

―――

撮影終了。

監督が近付いてくる。

美優は少し緊張した。

すると。

監督が笑った。

「良かったよ」

「え?」

「初CMとは思えなかった」

その言葉に。

美優の顔が明るくなる。

「本当ですか!?」

「うん」

監督は頷いた。

「また一緒に仕事したいね」

その瞬間。

美優は嬉しさで胸がいっぱいになった。

―――

夜。

グループチャット。

美優からメッセージが届く。

『終わったーーー!!!』

すぐに返信が飛ぶ。

真優 『お疲れ様!』

葵 『どうだった?』

玲奈 『気になります』

数秒後。

美優から写真が送られてきた。

スポーツドリンクのボトルを持ちながら満面の笑みを浮かべる姿。

そして一言。

『めちゃくちゃ楽しかった!』

真優たちは笑った。

それで十分だった。

美優もまた。

自分だけの一歩を踏み出したのだから――。

第97話 完

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