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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第95話 『選ばれた声』

真優の演技が始まる。

最初のセリフ。

静かな場面だった。

主人公が夢を語るシーン。

真優は丁寧に言葉を紡ぐ。

審査員たちは黙って聞いている。

次の場面。

仲間との別れ。

涙をこらえる主人公。

真優は感情を押し殺すように演じた。

部屋の空気が変わる。

監督がわずかに身を乗り出した。

そして――。

最後のシーン。

絶望の中から立ち上がる場面。

真優は叫んだ。

全力だった。

技術だけではない。

今までの努力。

悔しさ。

喜び。

出会った仲間たち。

全部を込めた。

声が響く。

静寂。

演技終了。

誰もすぐには口を開かなかった。

真優は深く一礼する。

「ありがとうございました」

そして部屋を出た。

―――

控室。

真優は椅子に座る。

もう何も考えられない。

出し切った。

本当に全部。

すると。

隣に白石紗月が座った。

「お疲れさま」

真優は驚く。

「ありがとうございます」

白石は少し笑った。

「良い演技だった」

真優は目を見開いた。

憧れの人からの言葉。

嬉しかった。

だが。

白石は続ける。

「たぶん結果は分からないよ」

「え?」

「私も負けたかもしれないと思ったから」

真優は息を呑む。

それほどだったのか。

自分の演技は。

―――

数日後。

結果発表の日。

真優は事務所に呼ばれていた。

会議室。

見慣れた部屋。

だが。

今日は特別だった。

マネージャーも落ち着かない様子。

「緊張する?」

真優は苦笑する。

「します」

当然だった。

人生が変わるかもしれない。

そんな日だ。

―――

やがて扉が開く。

入ってきたのはプロデューサー。

監督。

音響監督。

三人だった。

真優は立ち上がる。

空気が張り詰める。

プロデューサーが資料を机に置いた。

そして。

真っ直ぐ真優を見る。

「結果をお伝えします」

心臓が鳴る。

ドクン。

ドクン。

ドクン。

監督が笑った。

「主人公役は――」

時間が止まる。

そして。

次の瞬間。

「真優さんに決定しました」

―――

真優は動けなかった。

理解できない。

言葉の意味は分かる。

でも。

現実感がない。

「……え?」

監督が頷く。

「君だ」

音響監督も笑う。

「満場一致だった」

その瞬間。

涙が溢れた。

止まらない。

何も言えない。

プロデューサーが言う。

「おめでとう」

真優は何度も頭を下げた。

「ありがとうございます……!」

声が震える。

涙も止まらない。

でも。

嬉しかった。

ただ嬉しかった。

―――

その日の夜。

真優たちは集まった。

美優。

葵。

玲奈。

いつもの四人。

真優が結果を伝える。

「主人公……決まった」

一瞬の静寂。

そして。

「やったぁぁぁぁぁ!!」

美優が飛び上がる。

葵も珍しく大きく笑う。

玲奈の目には涙が浮かんでいた。

「おめでとうございます!」

三人が祝福する。

真優も笑った。

涙を流しながら。

「ありがとう」

新人賞。

そして主演決定。

夢だった場所に少しずつ近づいている。

だが。

それはゴールではない。

むしろ――。

本当のスタートだった。

数週間後。

真優は初めて。

全国が注目する記者発表会のステージへ立つことになる。

そしてそこで。

さらに大きな運命と出会うことになるのだった――。

第95話 完

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