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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第93話 『もう一つの試験』

翌日。

真優は朝から落ち着かなかった。

昨日のオーディション。

そして監督からの急な呼び出し。

理由は聞かされていない。

だからこそ不安だった。

良い話なのか。

悪い話なのか。

全く分からない。

「……緊張する」

事務所へ向かう足取りも少し重い。

―――

会議室。

扉を開く。

そこには昨日の監督。

音響監督。

そしてプロデューサーがいた。

真優は慌てて頭を下げる。

「おはようございます!」

監督が笑う。

「そんなに緊張しなくていいよ」

そう言われても無理だった。

真優は椅子に座る。

そして話が始まる。

プロデューサーが資料を取り出した。

「まず結論から言います」

真優は息を呑む。

「昨日のオーディションですが――」

沈黙。

数秒が長い。

「最終選考に進んでいただきます」

真優は目を見開いた。

「え……!」

監督も頷く。

「候補者は三人まで絞った」

「その中に君がいる」

頭が真っ白になる。

最終選考。

つまり。

あと一歩。

主人公に手が届く場所まで来たのだ。

―――

だが。

話はそれだけではなかった。

音響監督が口を開く。

「ここから先は技術だけじゃない」

真優は首を傾げる。

「え?」

「主人公を一年以上演じ続けられるか」

監督が続ける。

「演技力だけなら他にも候補はいる」

「でも作品を背負えるかは別問題なんだ」

その言葉は重かった。

人気作品。

大型プロジェクト。

主演には責任が伴う。

真優は静かに頷いた。

―――

プロデューサーが資料を渡す。

「最終選考は来週です」

そこには大量の台本。

想像以上だった。

真優は思わず固まる。

「多い……」

監督が笑った。

「主人公の成長を全部見たいからね」

喜怒哀楽。

戦い。

絶望。

希望。

恋愛。

別れ。

様々なシーンが用意されていた。

まるで一本の人生だった。

―――

帰り道。

真優は公園のベンチに座った。

台本を見つめる。

嬉しい。

でも怖い。

最終選考。

夢に一番近い場所。

だからこそ失敗したくない。

そんな時だった。

スマホが鳴る。

美優からだ。

「もしもし?」

『どうだった!?』

勢いが凄い。

真優は少し笑う。

「最終選考」

数秒沈黙。

そして。

『うそぉぉぉぉ!?』

公園中に響きそうな声だった。

―――

夜。

四人が集まる。

美優は大興奮。

葵は冷静そうに見えて少し嬉しそう。

玲奈は目を輝かせている。

「あと一歩だね」

葵が言う。

真優は頷く。

「うん」

美優が拳を握る。

「絶対受かる!」

玲奈も笑った。

「応援しています」

仲間たちの言葉。

それだけで勇気が湧く。

真優は台本を抱えた。

新人賞を取った。

でも。

本当に目指していた場所はその先にある。

主演声優。

その夢へ。

あと一歩――。

しかし。

真優はまだ知らない。

最終選考の会場で。

自分の憧れだった超人気声優と同じ舞台に立つことになることを。

第93話 完

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