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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第84話「新しい風」

第二期制作決定。

その発表から一週間後。

『ツインスターズ・ストーリー』の公式発表は大きな話題となっていた。

SNSのトレンド入り。

ニュースサイトの記事。

ファンアート。

応援メッセージ。

作品の勢いは、誰の目にも明らかだった。

しかし。

人気が出るということは。

求められるものも大きくなるということだった。


アフレコスタジオ。

第一話の台本読み合わせの日。

真優は新しい台本を胸に抱えていた。

表紙には大きく書かれている。

『ツインスターズ・ストーリー Season2』

何度見ても実感が湧かなかった。

「本当に続くんだ……」

隣で美優が微笑む。

「まだ信じられない?」

「少し」

「私も」

そこへ。

葵がやってくる。

「二人とも早い」

「葵ちゃんも十分早いよ」

「遅刻する方が珍しい」

「それはそう」

三人が笑った。

すると。

スタジオのドアが開く。

スタッフが数人入ってくる。

その後ろに。

見知らぬ少女がいた。

真優たちは自然と視線を向ける。

少女は黒髪のロングヘア。

整った姿勢。

落ち着いた雰囲気。

年齢は真優たちと同じくらいだろうか。

監督が前に出る。

「紹介しよう」

スタジオの空気が少し変わる。

「第二期から参加する新キャストだ」

少女が一歩前へ出る。

そして綺麗に頭を下げた。

「初めまして」

落ち着いた声だった。

「神崎玲奈です」

「よろしくお願いします」

真優たちは挨拶を返す。

「よろしくお願いします!」

「よろしく」

「よろしくお願いします」

玲奈は再び頭を下げた。

だが。

どこか距離を感じる。

真面目すぎるほど真面目。

そんな印象だった。


読み合わせが始まる。

そして。

数分後。

真優は驚くことになる。

玲奈の演技。

それは圧倒的だった。

感情表現。

間の取り方。

声の強弱。

どれを取っても完成度が高い。

新人には見えない。

台本を読むだけで。

キャラクターがそこにいるようだった。

読み合わせ終了。

静かな空気。

スタッフたちも感心している。

監督が頷いた。

「いいな」

玲奈は小さく頭を下げる。

「ありがとうございます」

それだけだった。

嬉しそうな様子もない。

ただ当然のように受け止めている。

真優は思わず呟く。

「すごい……」

美優も頷いた。

「うん」

葵も真剣な顔をしていた。

「相当やる」


休憩時間。

真優は思い切って玲奈に話しかけた。

「神崎さん!」

玲奈が振り向く。

「はい?」

「演技すごかった!」

玲奈は少し驚いたようだった。

「ありがとうございます」

「本当に上手だった!」

「まだまだです」

「そんなことないよ!」

真優は笑顔だった。

しかし。

玲奈の表情は変わらない。

少し沈黙が流れる。

すると玲奈が言った。

「でも」

「?」

「私は負けるつもりで来たわけではありません」

真優が目を瞬く。

玲奈は続けた。

「この作品で一番になりたい」

真っ直ぐな瞳。

冗談ではない。

本気だ。

その場の空気が少し張り詰める。

美優も。

葵も。

会話を聞いていた。

玲奈は静かに言った。

「主演のお二人も」

「葵さんも」

「尊敬しています」

そして。

少しだけ微笑んだ。

「だからこそ勝ちたい」

言葉は穏やかだった。

だが。

その奥には強い闘志があった。


玲奈が離れていく。

真優はその背中を見つめた。

不思議だった。

嫌な気持ちはしない。

むしろ。

胸が高鳴っていた。

美優が隣に来る。

「ライバルだね」

「うん」

葵も加わる。

「面白くなりそうだ」

真優は笑った。

そうだ。

人気が出れば。

新しい仲間が増える。

新しいライバルも現れる。

立ち止まってはいられない。

第二期は始まったばかり。

そして。

新たな風が吹き始めていた。

第84話 完

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