第73話「三人の約束」
葵が本音を打ち明けてから数日後。
『ツインスターズ・ストーリー』の収録は順調に進んでいた。
真優 「おはよー!」
美優 「おはよう」
葵 「おはよう」
以前よりも自然な笑顔。
真優はそれだけで少し嬉しかった。
収録前。
監督が声をかける。
監督 「三人とも少しいいかな」
真優 「はい!」
美優 「何でしょう?」
葵 「?」
監督は資料を差し出した。
監督 「作品の人気が予想以上なんだ」
三人 「え?」
監督 「イベント開催が決まった」
真優 「本当ですか!?」
監督 「しかも主演キャスト全員参加だ」
美優 「すごい……」
葵も目を丸くした。
監督 「まだ先だけど、成功させたい」
真優 「頑張ります!」
収録後。
三人は近くの公園へ向かった。
ベンチに座りながら話す。
真優 「イベントかぁ」
美優 「緊張する」
葵 「私も」
真優 「でも楽しみ」
しばらく沈黙。
そして葵が口を開いた。
葵 「この前はごめん」
真優 「え?」
葵 「変な態度取ったから」
美優 「気にしてない」
真優 「うん」
葵は少し照れくさそうに笑う。
葵 「ありがとう」
真優 「こちらこそ」
美優 「仲直りできてよかった」
真優 「最初から仲悪くないけどね」
葵 「確かに」
三人は笑った。
夕暮れ。
オレンジ色に染まる空。
真優は空を見上げる。
真優 「ねえ」
美優 「?」
葵 「何?」
真優 「私たちさ」
真優 「絶対もっと大きなステージ行こうよ」
葵 「大きなステージ?」
真優 「武道館とか」
美優 「大きすぎ」
真優 「じゃあドーム!」
葵 「さらに大きくなった」
真優 「夢は大きい方がいい!」
美優 「それはそう」
葵は空を見上げた。
数日前まで感じていた焦り。
嫉妬。
悔しさ。
まだ消えたわけじゃない。
でも今は違う。
一人じゃない。
隣には同じ夢を追う仲間がいる。
葵 「行こう」
真優 「!」
美優 「葵?」
葵 「武道館でもドームでも」
葵 「絶対行こう」
真優 「うん!」
美優 「約束」
三人は拳を合わせた。
夕焼けの下。
小さな約束。
だけど。
いつか大きな未来につながる約束だった。
その瞬間。
三人の夢は同じ方向を向いていた。
第73話 完




