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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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372/438

第72話「嫉妬の理由」

新アニメ 『ツインスターズ・ストーリー』

初アフレコから数週間。

収録は順調だった。

真優と美優は主演として活躍。

葵も重要キャラクターとして高い評価を受けていた。

しかし。

ある日。

アフレコ終了後。

真優

「お疲れさまー!」

美優

「お疲れさま」

「……」

いつもなら返事をする葵が。

なぜか無言だった。

真優

「葵ちゃん?」

「先帰る」

美優

「え?」

葵はそのままスタジオを出て行った。

真優

「どうしたんだろう」

美優

「何かあったかも」

翌日。

収録現場。

スタッフたちの会話が聞こえる。

スタッフA

「主演の二人すごいね」

スタッフB

「人気も実力もあるし」

スタッフA

「今一番勢いあるかも」

その言葉を。

少し離れた場所で。

葵が聞いていた。

握り締める台本。

「……」

その日の収録。

演技は完璧だった。

しかし。

休憩時間。

葵は一人だった。

美優は気付く。

美優

「真優」

真優

「ん?」

美優

「行こう」

真優

「うん」

二人は葵の元へ向かう。

真優

「葵ちゃん」

「何?」

真優

「怒ってる?」

「怒ってない」

美優

「嘘」

「……」

沈黙。

そして。

「嫉妬してるだけ」

真優

「え?」

「二人に」

真優

「私たちに?」

「そう」

葵は苦笑した。

「主演」

「人気」

「ファン」

「ライブ」

「全部持ってる」

真優

「そんなこと」

「あるよ」

声が少し震えていた。

「私だって頑張ってる」

「負けないくらい努力してる」

「でも」

「気付いたら二人の背中ばかり見てる」

静かになる。

真優も。

美優も。

何も言えなかった。

すると。

真優

「葵ちゃん」

「?」

真優

「私」

真優

「葵ちゃんに嫉妬したことあるよ」

「え?」

真優

「演技上手いし」

真優

「かっこいいし」

真優

「いつも冷静だし」

「……」

美優

「私もある」

「美優も?」

美優

「ある」

「嘘」

美優

「本当」

三人とも笑った。

少しだけ空気が軽くなる。

美優

「嫉妬するのは」

美優

「本気だから」

「……」

真優

「ライバルだもん」

「そうだね」

真優

「でも」

「?」

真優

「追いかけられるだけじゃ困る」

「え?」

真優

「早く追いついてきて」

「何それ」

真優

「だって一緒に武道館行くんでしょ?」

「!」

真優

「ライバルがいないと寂しい」

葵は思わず吹き出した。

「変な人」

真優

「よく言われる」

美優

「毎日聞く」

三人は笑う。

心の奥にあったモヤモヤは。

少しずつ消えていった。

嫉妬。

悔しさ。

憧れ。

全部。

夢を追う人には必要な感情。

そして。

その日の帰り道。

葵は空を見上げた。

「まだ負けないから」

その表情は。

どこか吹っ切れていた。

ライバルとして。

仲間として。

再び前を向いて歩き始める。

第72話 完

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