第62話「未来へのハーモニー」
全国ツアーまで残り2か月半。
Twinkle Twins初のオリジナルアルバム。
その中心となる曲。
『未来へのハーモニー』
真優と美優が初めて作詞・作曲した作品だった。
レコーディング当日。
真優
「来ちゃった」
美優
「来たね」
レコーディングスタジオ。
何度も来た場所。
でも。
今日は違う。
今までは誰かが作った歌。
今日は。
自分たちの歌。
真優
「緊張する」
美優
「かなり」
音楽プロデューサーが現れる。
プロデューサー
「おはようございます」
二人
「おはようございます!」
プロデューサー
「今日は特別です」
真優
「はい」
プロデューサー
「この曲を一番理解しているのは」
プロデューサー
「皆さん自身です」
美優
「……」
プロデューサー
「上手く歌う必要はありません」
真優
「え?」
プロデューサー
「想いを届けてください」
静かに頷く二人。
レコーディング開始。
ヘッドホンを装着する。
マイクの前へ立つ。
イントロが流れる。
そして。
真優が歌い始めた。
♪ あの日見上げた空は 今も変わらず青くて──
自然と。
大阪の景色が浮かぶ。
学校。
文化祭。
仲間たち。
初めて夢を語った日。
真優
(懐かしいな)
続いて。
美優が歌う。
♪ 離れても消えない絆 心の中で輝いている──
賢太郎。
玲美菜。
龍太郎。
玲美愛。
将規。
将信。
離れていても。
大切な仲間たち。
歌いながら。
自然と胸が熱くなる。
サビ。
二人の声が重なる。
♪ 未来へのハーモニー どこまでも響け──
東京へ来た日。
不安だった。
怖かった。
でも。
歩き続けた。
支えてくれる人がいた。
ファンがいた。
家族がいた。
仲間がいた。
歌いながら。
気付けば。
真優の目から涙がこぼれていた。
真優
「……」
歌は止めない。
美優も。
少しだけ涙ぐんでいた。
そして。
最後のフレーズ。
♪ ありがとう この夢をくれたすべての人へ──
曲が終わる。
静寂。
スタジオの中には。
誰も何も言わなかった。
数秒後。
プロデューサー
「……素晴らしい」
真優
「……」
美優
「……」
プロデューサー
「技術じゃありません」
プロデューサー
「想いが届きました」
真優
「よかった……」
美優
「本当に」
担当マネージャーも静かに拍手する。
担当マネージャー
「きっとファンにも届きます」
真優
「届くかな」
美優
「届いてほしい」
レコーディング終了後。
二人はスタジオの外へ出る。
夕焼け。
東京の空。
真優
「ここまで来たね」
美優
「うん」
真優
「最初は主人公役だけでも夢だったのに」
美優
「今は自分たちの歌まである」
真優
「不思議」
美優
「でも」
真優
「?」
美優
「まだ途中」
真優
「そうだね」
全国ツアー。
アルバム発売。
そして。
その先の未来。
夢はまだ終わらない。
むしろ。
これからが本番だった。
その時。
担当マネージャーからメッセージが届く。
『緊急ミーティングがあります』
真優
「嫌な予感」
美優
「毎回言ってる」
真優
「でも当たるんだよ」
二人は顔を見合わせる。
そして。
知らなかった。
そのミーティングが。
Twinkle Twins史上最大の挑戦の始まりになることを。
第62話 完




