第41話「新しい街へ」
冬が近づき始めた頃。
真優と美優は事務所に呼ばれていた。
担当マネージャー
「今日は大事な話があります」
真優
「大事な話?」
美優
「何でしょう」
担当者は資料を開く。
そして。
担当者
「来年から本格的な育成プログラムに参加してもらいます」
真優
「育成プログラム?」
担当者
「声優レッスン、歌唱、ダンス、演技」
担当者
「すべて東京で行います」
真優
「東京!?」
美優
「……」
担当者
「大阪から通うのは現実的ではありません」
静かな空気。
担当者
「そこで」
資料を差し出す。
担当者
「事務所が管理するマンションへ入居していただきます」
真優
「マンション!?」
美優
「一人暮らし?」
担当者
「未成年ですので保護者同伴が条件です」
その言葉に。
二人は同時に思い浮かべた。
雷斗。
数日後。
雷斗の家。
真優
「東京だって」
美優
「引っ越し」
雷斗
「……」
真優
「マンション」
美優
「事務所管理」
雷斗
「情報量が多い」
説明を聞いた雷斗は腕を組む。
しばらく考える。
雷斗
「二人はどうしたい」
真優
「行きたい」
美優
「夢だから」
迷いはなかった。
雷斗は頷く。
雷斗
「なら俺も行く」
真優
「え?」
美優
「本当に?」
雷斗
「ああ」
雷斗
「保護者役が必要なんだろ」
真優
「兄ちゃん……」
美優
「ありがとう」
数週間後。
学校。
職員室。
将規たちが集まっていた。
真優
「みんなに話がある」
美優
「聞いてほしい」
将規
「どうした?」
賢太郎
「真面目な顔だな」
玲美菜
「何かあった?」
龍太郎
「……」
真優は深呼吸した。
そして。
真優
「私たち」
美優
「東京へ行くことになった」
全員
「え?」
教室が静まり返る。
真優
「事務所の育成プログラム」
美優
「本格的に始まるの」
将規
「そうか……」
賢太郎
「夢のためか」
真優
「うん」
玲美菜
「すごいことだよ」
しかし。
玲美愛は黙っていた。
真優
「玲美愛?」
玲美愛
「転校?」
美優
「うん」
玲美愛
「そっか……」
初めて見る顔だった。
寂しそうな表情。
いつも元気な玲美愛が。
言葉を失っていた。
放課後。
教室。
みんなで最後の時間を過ごす。
将規
「絶対成功しろよ」
真優
「うん」
美優
「頑張る」
賢太郎
「応援してる」
玲美菜
「テレビに出たら自慢するから」
真優
「気が早い!」
少し笑いが戻る。
そして。
玲美愛
「約束ね」
真優
「?」
玲美愛
「有名になっても忘れないこと」
美優
「忘れない」
真優
「絶対に」
玲美愛の目に少し涙が浮かぶ。
でも。
笑顔だった。
数日後。
大阪駅。
大きなスーツケース。
新幹線のホーム。
真優
「行ってきます」
美優
「行ってきます」
雷斗
「忘れ物ないな?」
真優
「多分!」
美優
「あるかもしれない」
雷斗
「確認しろ」
三人は笑う。
やがて。
新幹線がホームに入ってきた。
夢への切符。
新しい人生への一歩。
大阪での日々。
仲間との思い出。
学校生活。
すべてを胸に。
真優と美優は東京へ向かう。
夢を叶えるために。
双子の新しい物語が。
今、始まろうとしていた。
第41話 完




