第40話「託されたお金」
契約から数日後。
芸能事務所。
真優
「え?」
美優
「……え?」
目の前には担当マネージャー。
そして説明資料。
担当者
「契約に伴う支度金です」
真優
「支度金?」
担当者
「レッスンや活動準備のための契約金になります」
美優
「そんなのがあるんですか」
担当者
「今回は期待枠ですから」
差し出された資料。
そこに書かれていた金額。
15,000,000円
真優
「い、いち……」
美優
「せん……」
二人
「1500万円!?」
担当者
「はい」
真優
「無理無理無理!」
美優
「落ち着いて」
真優
「美優も落ち着いてない!」
担当者は苦笑した。
担当者
「自由に使うためのお金ではありません」
担当者
「活動資金や将来のために管理してください」
真優
「ですよね!」
美優
「安心した」
しかし。
問題があった。
真優
「私たち管理できる?」
美優
「できない」
真優
「即答」
美優
「絶対に危険」
二人は顔を見合わせる。
そして。
同じ人物を思い浮かべた。
夕方。
雷斗の家。
雷斗
「1500万円?」
真優
「うん」
雷斗
「1500万円?」
美優
「うん」
雷斗
「1500万円!?」
今度は雷斗が驚く番だった。
真優
「私も同じ反応した」
雷斗
「当たり前だ」
書類を確認する。
本物。
間違いない。
雷斗
「それで?」
美優
「お願いがある」
雷斗
「何だ」
真優
「預かってほしい」
雷斗
「は?」
真優
「私たちじゃ管理できない」
美優
「正論」
雷斗
「正論だな」
少し考える。
雷斗は二人を見た。
浮かれている様子はない。
むしろ。
お金の怖さを理解している。
雷斗
「分かった」
真優
「本当!?」
雷斗
「ああ」
美優
「ありがとう」
雷斗
「ただし条件がある」
真優
「条件?」
雷斗
「勝手に引き出さない」
真優
「うん」
雷斗
「無駄遣いしない」
美優
「うん」
雷斗
「夢のために使う」
真優
「約束する」
美優
「約束する」
雷斗は頷いた。
雷斗
「なら預かる」
その言葉に。
双子は安心した。
夜。
帰り道。
真優
「なんかすごいことになったね」
美優
「まだ実感ない」
真優
「でも」
美優
「うん」
真優
「夢に近づいてる気がする」
美優
「私も」
空を見上げる。
数か月前。
ただの高校生だった。
今は。
芸能事務所所属の新人。
そして。
大きな夢を追う挑戦者。
真優
「絶対成功しよう」
美優
「うん」
双子は歩き出す。
まだ始まったばかり。
だけど。
確実に未来は動き始めていた。
第40話 完




