第39話「保証人」
芸能事務所との面談から帰った翌日。
双子の部屋。
机の上には契約書。
真優
「これかぁ……」
美優
「本物だね」
数枚の書類。
所属契約書。
レッスンに関する説明。
保護者同意書。
そして。
保証人欄。
真優
「保証人……」
美優
「必要なんだね」
真優
「どうする?」
美優
「頼む人は決まってる」
真優
「だよね」
二人は顔を見合わせる。
同じ答えだった。
夕方。
双子は兄の家を訪れた。
兄。
雷斗。
昔から二人の面倒を見てくれた存在。
憧れでもあり。
頼れる兄でもある。
ピンポーン。
雷斗
「おう」
真優
「来た!」
美優
「お邪魔します」
雷斗
「急にどうした」
真優
「実は!」
雷斗
「嫌な予感」
真優
「いい話!」
雷斗
「もっと怖い」
美優
「兄さん」
雷斗
「ん?」
美優
「私たち」
真優
「芸能事務所に合格した」
雷斗
「……は?」
数秒停止。
真優
「だから!」
美優
「オーディションに受かった」
雷斗
「マジか」
真優
「マジ!」
雷斗
「本当に?」
美優
「本当に」
雷斗は驚いていた。
そして。
少し嬉しそうだった。
雷斗
「おめでとう」
真優
「へへへ」
美優
「ありがとう」
雷斗
「それで?」
真優
「あっ」
本題を思い出す。
真優
「これ」
契約書を差し出す。
雷斗
「契約書?」
美優
「保証人が必要なの」
雷斗
「なるほど」
書類を確認する。
真剣な表情。
真優も美優も黙る。
数分後。
雷斗
「質問」
真優
「はい!」
雷斗
「本気か?」
真優
「本気」
美優
「本気」
迷いはなかった。
雷斗
「途中で逃げる気は?」
真優
「ない」
美優
「絶対に」
雷斗は二人を見る。
小さい頃から知っている。
泣き虫だった真優。
しっかり者の美優。
その二人が。
今は夢を追っている。
本気で。
雷斗
「なら」
ペンを取る。
真優
「!」
美優
「兄さん」
雷斗
「俺が保証人になる」
サインを書く。
名前。
住所。
そして印鑑。
正式に記入された。
真優
「ありがとう!」
美優
「本当にありがとう」
雷斗
「礼はいらない」
真優
「え?」
雷斗
「代わりに」
真優
「代わり?」
雷斗
「絶対に後悔するな」
静かな声だった。
雷斗
「夢を追うなら最後までやれ」
真優
「うん」
美優
「うん」
雷斗
「途中で諦めるな」
真優
「約束する」
美優
「絶対に」
雷斗は笑った。
雷斗
「なら大丈夫だ」
帰り道。
夕焼け。
真優
「保証人になってくれたね」
美優
「うん」
真優
「嬉しかった」
美優
「私も」
契約書を抱える。
そこには。
兄のサイン。
夢への第一歩を認めてくれた証。
真優
「頑張ろう」
美優
「うん」
もう後戻りはしない。
双子の挑戦は。
いよいよ本格的に始まろうとしていた。
第39話 完




