第34話「運命のスカウト」
日曜日。
真優
「久しぶりの買い物だー!」
美優
「騒がない」
真優
「無理!」
大阪の大型ショッピングモール。
今日は双子だけで出かけていた。
洋服を見たり。
雑貨を見たり。
クレープを食べたり。
久しぶりの休日を満喫していた。
真優
「この服どう?」
美優
「似合う」
真優
「本当?」
美優
「うん」
真優
「美優は?」
美優
「こっちかな」
真優
「絶対似合う!」
二人は笑った。
その時だった。
「すみません」
後ろから声がした。
真優
「はい?」
振り返る。
スーツ姿の女性。
三十代くらい。
どこか落ち着いた雰囲気だった。
女性
「少しお時間よろしいですか?」
真優
「?」
美優
「何でしょう」
女性は名刺を差し出した。
真優
「芸能事務所?」
美優
「え?」
二人は固まる。
女性
「実はお二人に興味がありまして」
真優
「私たち?」
女性
「はい」
女性は微笑んだ。
女性
「双子ですよね?」
真優
「そうです」
女性
「雰囲気も良いですし」
女性
「もし興味があればオーディションを受けてみませんか?」
真優
「えええ!?」
周囲が振り向く。
美優
「声が大きい」
真優
「だって!」
芸能事務所。
オーディション。
それは。
二人が昔から憧れていた世界。
声優アイドル。
その夢に繋がるかもしれない言葉だった。
女性
「もちろん無理にとは言いません」
女性
「ご家族とも相談してください」
名刺と資料を受け取る。
女性
「お待ちしています」
そう言って去っていった。
数秒後。
真優
「夢?」
美優
「現実」
真優
「夢じゃない?」
美優
「多分」
二人は資料を見る。
本物だった。
本当に芸能事務所だった。
真優
「どうしよう」
美優
「分からない」
真優
「受ける?」
美優
「……」
少し考える。
そして。
美優
「受けたい」
真優
「!」
美優
「昔からの夢だから」
真優は笑った。
真優
「私も」
二人の答えは同じだった。
その夜。
双子の部屋。
机の上には資料。
真優
「まさか本当にあるんだね」
美優
「ドラマみたい」
真優
「怖い?」
美優
「少し」
真優
「私も」
少し沈黙。
真優
「でもさ」
美優
「うん」
真優
「チャンスかもしれない」
美優
「うん」
二人は頷く。
小さい頃からの夢。
声優アイドルになること。
双子でデビューすること。
まだ何も決まっていない。
オーディションだって受かる保証はない。
それでも。
初めて夢への扉が目の前に現れた。
真優
「頑張ろう」
美優
「うん」
双子は拳を合わせる。
その時。
まだ知らなかった。
今日の出会いが。
自分たちの人生を大きく変えることになることを。
第34話 完




