第30話「それぞれの夢 ― 真優・美優編 ―」
進路希望調査週間も終盤。
昼休み。
玲美愛
「次は真優と美優!」
真優
「また始まった」
美優
「恒例行事になってる」
龍太郎
「半分お前のせいだぞ」
玲美愛
「みんなの夢聞きたいじゃん!」
将規
「まあ気になるな」
賢太郎
「確かに」
玲美菜
「二人のは聞いたことないかも」
すると。
真優と美優は顔を見合わせた。
そして。
同時に頷く。
真優
「じゃあ言う?」
美優
「うん」
将規
「そんなに大事な話か」
真優
「結構ね」
少しだけ空気が変わる。
真優
「私たちの夢は――」
美優
「声優アイドル」
一瞬。
教室が静かになった。
玲美愛
「えっ!?」
龍太郎
「声優アイドル?」
賢太郎
「意外だな」
玲美菜
「でも似合うかも」
真優
「本当?」
玲美菜
「うん」
真優は嬉しそうだった。
将規
「いつから?」
真優
「小学生くらい」
美優
「アニメが好きで」
真優
「二人でよく見てた」
美優
「ライブ映像も見てた」
真優
「それで思ったんだ」
真優は少し遠くを見る。
幼い頃。
テレビの前。
双子で並んで座りながら。
アニメを見る。
エンディング曲を歌う。
好きなキャラクターの真似をする。
そんな日々。
真優
「いつか私たちも」
美優
「同じステージに立ちたい」
真優
「そう思った」
美優も静かに頷く。
そして。
真優
「ただ声優になるだけじゃない」
美優
「ただアイドルになるだけでもない」
真優
「双子で」
美優
「一緒に」
二人
「デビューしたい」
その言葉には。
強い想いが込められていた。
玲美愛
「かっこいい……」
龍太郎
「本気なんだな」
真優
「もちろん」
美優
「絶対に叶えたい」
将規は二人を見る。
いつもの明るい真優。
いつもの落ち着いた美優。
でも今は違った。
夢を語る二人の目は。
誰よりも真剣だった。
放課後。
双子の帰り道。
真優
「言っちゃったね」
美優
「うん」
真優
「笑われるかと思った」
美優
「私も」
真優
「でも」
美優
「うん」
真優
「ちょっとスッキリした」
美優
「同じ」
夕日が街を照らしている。
真優
「絶対なろうね」
美優
「うん」
真優
「双子でデビュー」
美優
「約束」
二人は小さく拳を合わせた。
まだ遠い夢。
簡単じゃない。
きっと大変だ。
それでも。
一人じゃない。
隣にはいつも。
同じ夢を追う姉妹がいる。
だから前を向ける。
だから頑張れる。
双子の夢は。
今、この瞬間も輝いていた。
第30話 完




