第22話「答え」
文化祭。
夕方。
屋上。
全校生徒が見守る中。
将規は真優と美優の前に立っていた。
風が吹く。
夕日が校舎を赤く染める。
誰も言葉を発しない。
将規
「たくさん考えた」
真優も。
美優も。
真っ直ぐ将規を見つめていた。
将規
「二人とも大切だ」
将規
「真優といると楽しい」
将規
「美優といると落ち着く」
将規
「どっちも大好きだった」
静かな屋上。
将規
「だから苦しかった」
将規
「でも」
将規は顔を上げる。
そして。
美優を見る。
真優が小さく息を呑む。
美優の瞳が揺れる。
将規
「俺が選ぶのは」
将規
「美優だ」
一瞬。
時間が止まった。
将規
「美優」
将規
「俺と付き合ってください」
涙が溢れる。
美優
「……はい」
美優
「よろしくお願いします」
将規は笑う。
美優も泣きながら笑った。
大歓声。
玲美愛
「きゃあああああ!!」
龍太郎
「耳が痛い!」
一将
「決めたな」
結衣
「うん」
兼次郎
「青春だな」
真太郎
「そうだな」
二人も珍しく喧嘩しなかった。
そして。
真優。
少しだけ涙がこぼれる。
でも。
真優は笑った。
真優
「おめでとう」
美優
「真優……」
真優
「泣くな」
真優
「今日は笑う日だから」
美優はさらに泣いた。
真優も泣いた。
そして三人で笑った。
その後。
文化祭の告白タイムは続く。
玲美愛
「龍太郎!」
龍太郎
「なんだ!」
玲美愛
「好き!」
龍太郎
「知ってる!」
玲美愛
「付き合って!」
龍太郎
「最初からそのつもりだ!」
大歓声。
玲美愛
「やったぁぁぁ!」
こうして。
玲美愛と龍太郎も恋人になった。
さらに。
賢太郎
「玲美菜」
玲美菜
「はい」
賢太郎
「付き合ってください」
玲美菜
「よろしくお願いします」
こちらも成立。
校内は祝福ムードだった。
そして。
校舎裏。
真衣は一人だった。
真太郎が近付く。
真太郎
「ここにいたか」
真衣
「うん」
静かな時間。
真衣は空を見上げる。
真衣
「終わったね」
真太郎
「ああ」
真衣
「振られてもないのに」
真衣
「振られた気分」
少しだけ笑う。
真太郎は何も言わない。
ただ隣に立つ。
真衣
「好きだったのかな」
真太郎
「どうだろうな」
真衣
「分からないや」
でも。
涙は出なかった。
真衣
「良かったと思ってる」
真太郎
「そうか」
真衣
「二人とも幸せそうだった」
真太郎は妹の頭を軽く撫でる。
真衣
「子ども扱い」
真太郎
「妹だからな」
夕日が沈んでいく。
その頃。
校門前。
真優は一人で歩いていた。
すると。
将信
「真優」
真優
「え?」
振り返る。
そこには。
将信。
将規の弟。
将信
「お疲れ」
真優
「ありがとう」
将信
「泣いた?」
真優
「少しだけ」
将信
「そっか」
少し沈黙。
そして。
将信
「俺さ」
真優
「?」
将信
「ずっと好きだった」
真優
「え?」
将信
「真優のこと」
真優は驚く。
将信
「返事は今じゃなくていい」
真優
「……」
将信
「でも伝えたかった」
真優は少し笑った。
そして。
真優
「返事なら今する」
将信
「え?」
真優
「よろしくね」
将信
「……本当に?」
真優
「うん」
将信の顔が真っ赤になる。
真優は久しぶりに心から笑った。
文化祭終了。
それぞれの恋は。
終わりを迎え。
そして新しい始まりを迎えた。
美優と将規。
真優と将信。
玲美愛と龍太郎。
賢太郎と玲美菜。
たくさんの想いが結ばれた日。
忘れられない文化祭になった。
第22話 完




