第17話「三人の再会」
文化祭まで、あと五日。
日曜日。
午後。
駅前のカフェ。
文化祭の買い出し帰りだった将規は、一将に呼び出されていた。
将規 「何の用?」
一将 「暇だった」
将規 「帰る」
一将 「待て待て」
結衣 「相変わらずね」
将規 「結衣さん」
結衣も一緒だった。
いつもの穏やかな空気。
すると。
店の入口のベルが鳴る。
カラン。
一将 「お」
結衣 「来たね」
将規 「?」
振り返る。
そして固まった。
兼次郎 「よう」
真太郎 「最悪だ」
将規
「なんでいるんですか!?」
兼次郎
「呼ばれた」
真太郎
「俺もだ」
一将は楽しそうだった。
結衣
「ふふっ」
真太郎
「笑い事じゃない」
兼次郎
「まったくだ」
二人は席に座る。
しかし。
目が合った瞬間。
真太郎
「隣嫌だ」
兼次郎
「奇遇だな」
将規
「小学生ですか」
結衣
「高校時代から変わらないの」
真太郎
「聞いてくれ将規くん」
兼次郎
「聞くな」
真太郎
「高校三年間」
兼次郎
「お前が始めるな」
真太郎
「こいつと同じクラスだった」
将規
「地獄ですね」
真太郎
「分かるか」
兼次郎
「お前も失礼だな」
結衣は笑いを堪えていた。
真太郎
「そもそも」
兼次郎
「はいはい」
真太郎
「結衣を好きになったのは俺が先だ」
兼次郎
「知らん」
真太郎
「本当だ」
兼次郎
「だから何だ」
真太郎
「なのに」
兼次郎
「なのに?」
真太郎
「一将が全部持っていった」
沈黙。
将規
「兄貴」
一将
「ん?」
将規
「何したの」
一将
「普通に告白した」
兼次郎
「それが一番腹立つ」
真太郎
「本当に腹立つ」
結衣
「私の意思は?」
全員静止。
結衣
「ねえ?」
兼次郎
「あ」
真太郎
「すみません」
結衣
「私が選んだの」
兼次郎
「はい」
真太郎
「その通りです」
将規
(強い)
一将
(昔からこうだ)
少しして。
話題が変わる。
一将
「そういえば」
兼次郎
「?」
一将
「将規」
将規
「何」
一将
「文化祭まであと五日だな」
空気が少し変わる。
真太郎も黙る。
結衣も静かになる。
兼次郎
「そうか」
将規
「……」
一将
「答えは見えたか?」
将規は黙った。
まだ迷いはある。
でも。
以前とは違う。
将規
「少しだけ」
真太郎
「そうか」
兼次郎
「なら十分だ」
将規は驚く。
兼次郎
「最後は理屈じゃない」
真太郎
「珍しく同意する」
兼次郎
「それは腹立つ」
真太郎
「俺もだ」
将規
「仲いいですよね」
兼次郎・真太郎
「違う!」
店内に響く声。
結衣は笑い。
一将も苦笑した。
その光景を見ながら。
将規は思う。
昔。
この人たちも悩んだのだろう。
恋をして。
迷って。
傷付いて。
それでも前へ進んだ。
文化祭まで、あと五日。
将規もまた。
自分の答えへ向かって歩き始めていた。
第17話 完




