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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第8話「雨の日の帰り道」

文化祭まで、あと十四日。

土曜日。

朝から曇り空だった。

文化祭準備の日。

体育館や教室では多くの生徒が作業をしている。

将規 「段ボール運び終わった……」

真優 「お疲れ」

美優 「お疲れさま」

将規 「二人は?」

真優 「飾り作り」

美優 「切り絵担当」

将規 「似合うな」

真優 「雑な褒め方」

美優 「将規らしい」

将規 「なんでだよ」

三人で笑う。

こういう時間が増えていた。

自然な会話。

自然な笑顔。

だからこそ将規は余計に迷ってしまう。

午後。

作業も終盤。

窓の外が急に暗くなる。

ゴロゴロ……

真優 「あ」

美優 「雷」

数分後。

ザーッ!!

大雨だった。

委員長 「うわぁぁぁ!」

将規 「テンション高いな」

委員長 「帰れなくなった!」

将規 「そっちか」

教室中が少し騒がしくなる。

夕方。

準備終了。

しかし雨は止まない。

真優 「どうする?」

美優 「傘ある?」

将規 「一本だけ」

真優 「私も一本」

美優 「私も」

三人とも持っていた。

問題ない。

はずだった。

しかし。

真優 「あ」

将規 「どうした」

真優 「傘壊れてる」

将規 「は?」

骨が一本折れていた。

美優 「いつから?」

真優 「知らない」

将規 「気付けよ」

真優 「今気付いた」

結果。

真優は将規の傘へ。

美優は自分の傘。

という形になった。

校門。

雨音。

二人並んで歩く。

真優 「近い」

将規 「傘だからな」

真優 「まあね」

少し笑う。

肩が触れそうな距離。

お互い少し緊張していた。

真優 「ねえ」

将規 「ん?」

真優 「文化祭終わったら」

将規 「うん」

真優 「こういうのも終わるのかな」

将規は返事に困る。

真優は空を見る。

灰色の空。

真優 「最近ね」

将規 「?」

真優 「毎日が早い」

真優 「文化祭が近づくのが怖い」

小さな声だった。

将規 「……」

真優 「でも」

真優は笑う。

真優 「今は楽しみたい」

将規 「そうだな」

真優 「うん」

少し前。

美優も一人で歩いていた。

傘をさして。

雨の中。

美優 「……」

二人が一緒に帰っている。

分かっている。

仕方ない。

でも。

少しだけ胸が痛い。

その時。

後ろから声。

真衣 「美優」

美優 「え?」

振り返る。

真衣だった。

真衣 「偶然」

美優 「本当に?」

真衣 「たぶん」

美優 「怪しい」

二人は笑う。

そして並んで歩き始める。

真衣 「大丈夫?」

美優 「何が?」

真衣 「色々」

美優は少し黙る。

そして。

美優 「大丈夫じゃないかも」

珍しく弱音だった。

真衣は何も言わない。

ただ聞く。

美優 「怖いんだ」

真衣 「うん」

美優 「負けるのも」

美優 「勝つのも」

真衣は少し驚く。

美優 「だって」

美優 「どっちになっても」

美優 「誰かが傷つくから」

雨音だけが響く。

真衣 「優しいね」

美優 「そうかな」

真衣 「そうだよ」

美優は少し笑った。

夜。

将規の部屋。

窓の外はまだ雨。

今日のことを思い出す。

真優の隣。

美優の表情。

真衣の言葉。

全部が頭の中を巡る。

そして。

机の上に置かれた文化祭の日程表を見る。

残り。

十四日。

二週間。

将規 「もうそんなにないのか」

小さく呟く。

答えを出す日が。

確実に近づいていた。

第8話 完

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