表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

306/438

第6話「美優の願い」

文化祭まで、あと十六日。

木曜日。

放課後。

文化祭実行委員会。

委員長 「今日はここまで!」

将規 「終わった……」

真優 「疲れた……」

美優 「眠い……」

三人とも机に突っ伏す。

委員長 「若いのに!」

将規 「その台詞好きですね」

委員長は満足そうに頷いた。

帰ろうとした時だった。

美優 「将規」

将規 「ん?」

美優は少し迷う。

珍しい。

いつもならもっと落ち着いている。

美優 「少しだけ時間ある?」

将規 「あるけど」

真優 「……」

美優 「話したいことがある」

将規は頷いた。

真優は二人を見た。

何も言わない。

でも。

昨日、自分が将規を誘った。

だから今日は美優の番だと分かっていた。

真優 「行ってらっしゃい」

美優 「ありがとう」

学校近くの河川敷。

夕焼け。

川の流れる音。

風は少し冷たい。

将規 「話って?」

美優 「うん」

二人で歩く。

しばらく沈黙。

やがて。

美優が口を開く。

美優 「私ね」

将規 「うん」

美優 「昔から比べられることが多かった」

将規は黙って聞く。

美優 「双子だから」

美優 「当然なんだけどね」

苦笑する。

美優 「どっちが運動できる」

美優 「どっちが成績いい」

美優 「どっちが人気ある」

将規 「……」

美優 「別に真優が嫌いじゃない」

美優 「大好き」

将規 「知ってる」

美優は少し笑った。

美優 「でもね」

立ち止まる。

川を見る。

夕陽が水面に映っていた。

美優 「一度だけでいいから」

将規 「?」

美優 「誰かの一番になりたいって思った」

静かな声。

だけど。

将規の胸には強く響いた。

美優 「真優と競争したいわけじゃない」

美優 「勝ちたいわけでもない」

将規 「うん」

美優 「ただ」

美優は将規を見る。

真っ直ぐ。

逃げない目。

美優 「将規の特別になりたい」

風が吹く。

髪が揺れる。

将規は言葉を失った。

美優 「文化祭まで」

将規 「……」

美優 「私も頑張る」

少し笑う。

美優らしい笑顔。

穏やかで。

優しくて。

でも。

芯の強さがある。

美優 「だから」

美優 「ちゃんと見てほしい」

将規 「ああ」

その返事しかできなかった。

帰り道。

駅前。

美優 「今日はありがとう」

将規 「こちらこそ」

美優 「少し言えてよかった」

将規 「そうか」

美優 「うん」

静かに笑う。

そして。

美優 「じゃあまた明日」

将規 「また明日」

二人は別れた。

夜。

将規の部屋。

机に向かう。

だが勉強は進まない。

昨日の真優。

今日の美優。

言葉が頭の中で何度も繰り返される。

――将規といる時の自分が好き。

――将規の特別になりたい。

将規 「……」

胸が苦しい。

どちらも本気だ。

どちらも大切だ。

だから。

余計に答えが見えない。

その頃。

双子の家。

真優の部屋。

真優 「どうだった?」

美優の部屋。

美優 「話してきた」

真優 「そっか」

少し沈黙。

そして。

真優が笑う。

真優 「負けないよ」

美優も笑う。

美優 「私も」

双子だから分かる。

お互いが本気だということを。

文化祭まで、あと十六日。

恋の時計は。

止まることなく進み続けていた。

第6話 完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ