第98話「文化祭実行委員」
文化祭まで、あと二十四日。
朝のホームルーム。
担任が教室に入るなり言った。
先生 「文化祭実行委員を決めるぞ」
教室がざわつく。
玲美愛 「嫌な予感」
龍太郎 「同感」
将規も何となく嫌な予感がしていた。
先生 「立候補は?」
誰も手を挙げない。
当然だった。
面倒だから。
先生 「いないなら推薦で――」
その瞬間。
玲美愛 「将規」
将規 「おい」
教室が笑う。
先生 「将規か」
将規 「ちょっと待ってください」
龍太郎 「真優も向いてます」
真優 「は?」
先生 「なるほど」
真優 「なるほどじゃない!」
さらに。
誰かが言った。
「美優も」
美優 「……え?」
先生 「よし」
将規 「よくない!」
真優 「待って!」
美優 「話が早すぎる」
しかし。
多数決。
結果。
文化祭実行委員。
将規。
真優。
美優。
三人に決定。
玲美愛 「やった」
龍太郎 「やったな」
将規 「お前ら後で覚えてろ」
昼休み。
実行委員会。
教室には各クラスの代表が集まっている。
将規はため息。
真優もため息。
美優もため息。
三人同時だった。
真優 「最悪」
美優 「最悪」
将規 「お前ら息ぴったりだな」
真優 「今それ言う?」
美優 「空気読んで」
将規 「すみません」
即謝罪。
放課後。
委員会終了。
帰ろうとした時だった。
実行委員長 「あ、三人とも」
将規 「?」
委員長 「準備係お願いね」
真優 「え?」
美優 「私たちが?」
委員長 「人数足りないから」
将規 「断れます?」
委員長 「無理」
即答。
そして。
次の土曜日。
朝から夕方まで。
三人で文化祭準備が決定した。
帰り道。
真優 「……最悪」
美優 「……最悪」
将規 「だから息ぴったりだって」
真優 「うるさい」
美優 「うるさい」
将規 「はい」
でも。
その後。
少しだけ沈黙が続く。
真優 「土曜日か」
美優 「長いね」
将規 「そうだな」
文化祭まで一か月を切った今。
三人きりで過ごす時間が増える。
それは良いことなのか。
悪いことなのか。
誰にも分からない。
ただ一つ確かなのは。
文化祭へ向かう物語が、また少し動き始めたということだった。
そしてその夜。
真衣は実行委員名簿を見て、小さく笑った。
真衣 「なるほどね」
意味深な一言。
波乱の土曜日が、近づいていた。
第98話 完。




