表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

295/438

第95話「兄への相談、再び」

日曜日。

文化祭まで、あと四週間。

将規は朝から落ち着かなかった。

机に向かっても集中できない。

ゲームをしても頭に入らない。

スマホを見ても、真優と美優の言葉ばかり思い出す。

――文化祭までに、一人を選んで。

将規 「……はぁ」

大きなため息。

そして。

将規 「聞くか」

向かった先は、兄の部屋だった。

コンコン。

一将 「開いてるぞ」

将規 「入るぞ」

部屋に入る。

兄の一将は参考書を閉じて振り返った。

一将 「珍しいな」

将規 「相談」

一将 「おお?」

その一言で、一将はだいたい察した。

一将 「恋愛か」

将規 「なんで分かるんだよ」

一将 「弟だから」

即答だった。

将規 「意味分からん」

一将 「で?」

将規は少し迷った。

だが。

ここまで来たら隠せない。

将規 「実は――」

真優。

美優。

告白。

自分の答え。

文化祭までの期限。

全部話した。

話し終わる頃には、一時間近く経っていた。

沈黙。

一将は腕を組む。

将規 「……どう思う」

一将 「難しいな」

珍しく即答しなかった。

将規 「だろ」

一将 「でも一つ聞く」

将規 「何だよ」

一将 「もし二人とも明日転校するって言われたら?」

将規 「は?」

突然だった。

一将 「会えなくなる」

一将 「連絡も取れない」

一将 「二度と会えない」

将規 「極端すぎるだろ」

一将 「いいから考えろ」

将規は黙る。

真優。

美優。

どちらも会えなくなる。

胸が苦しくなる。

一将 「先に思い浮かんだのは?」

将規 「……」

答えられない。

本当に。

答えられなかった。

一将は少し笑った。

一将 「ならまだ迷ってるな」

将規 「当たり前だろ」

一将 「うん」

そして。

一将は真面目な顔になる。

一将 「将規」

将規 「ん?」

一将 「好きな人を選ぶんじゃない」

将規 「?」

一将 「一緒にいたい人を選べ」

将規は黙る。

一将 「好きなんて感情は変わる」

一将 「楽しいも変わる」

一将 「でも」

一将は静かに続けた。

一将 「困った時」

一将 「苦しい時」

一将 「十年後」

一将 「それでも隣にいてほしいと思える相手は誰だ」

部屋が静かになる。

将規は言葉を失った。

一将 「答えは俺が決めるものじゃない」

将規 「……ああ」

一将 「でもな」

一将は笑った。

一将 「どっちを選んでも、選ばなかった方を忘れることはないぞ」

将規 「!」

一将 「それが恋愛だ」

将規は初めて気づく。

自分は。

「傷つけない選択」を探していた。

でもそんなものは最初から存在しない。

一将 「だから覚悟しろ」

将規 「覚悟」

一将 「選ぶってそういうことだ」

沈黙。

しばらくして。

将規は立ち上がる。

将規 「ありがとな」

一将 「おう」

将規 「少しだけ整理できた」

一将 「文化祭までまだある」

将規 「ああ」

一将 「逃げるなよ」

将規は苦笑した。

将規 「分かってる」

部屋を出る。

廊下を歩きながら、将規は兄の言葉を繰り返していた。

――好きな人じゃない。

――一緒にいたい人を選べ。

文化祭まで、あと二十七日。

将規の中で、少しずつ何かが動き始めていた。

第95話 完。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ