表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

291/438

第91話「選択」

風が止まった気がした。

屋上前の廊下。

真優と美優は、将規の言葉を待っていた。

真衣はいない。

誰も、止める人はいない。

将規 「俺は……」

喉が乾く。

心臓の音がうるさい。

将規の中で、何度も同じ顔が浮かぶ。

真優の笑顔。

美優の静かな目。

どちらも消えない。

どちらも、軽くはない。

将規は息を吸った。

将規 「……どっちも、選べない」

一瞬、空気が揺れる。

真優の目がわずかに細くなる。

美優の指が止まる。

将規は続ける。

将規 「今も、これからも」

将規 「どっちかを切るってのは、無理だ」

真優 「……ふざけないで」

真優の声が少しだけ震える。

真優 「それ、答えじゃない」

美優 「逃げだよ、それ」

美優の声は静かだった。

でも鋭い。

将規は首を振る。

将規 「逃げじゃない」

将規 「ちゃんと見た結果だ」

沈黙。

風が再び吹き始める。

将規は一歩前に出る。

将規 「真優」

真優の肩がわずかに動く。

将規 「お前といると、楽しい」

将規 「今が、ちゃんと生きてる感じがする」

真優の目が揺れる。

将規は続ける。

将規 「美優」

美優は小さく息を呑む。

将規 「お前といると、落ち着く」

将規 「ちゃんと先を考えられる」

美優の目がわずかに伏せる。

将規 「どっちも、嘘じゃない」

静か。

将規 「だから……どっちも失いたくない」

その瞬間だった。

真優 「……最低」

短く、吐き捨てるように。

美優 「そんなの、ずるいよ」

でも、二人ともその場を動かない。

怒っているのに、離れられない顔。

将規は続ける。

将規 「でも、選ばないことを続けるのも違うってのは分かってる」

将規 「だから――」

一度、言葉を切る。

将規 「ルールを変える」

真優 「……何それ」

美優 「どういう意味?」

将規は真っ直ぐ見る。

将規 「二人とも、好きだ」

はっきりと言った。

風が強くなる。

将規 「だから、“どっちかを選ぶ”んじゃなくて」

将規 「“二人と向き合う”」

真優 「そんなの……」

美優 「無理だよ」

将規 「無理かどうかは、これから決める」

沈黙。

その時、階段の上から声。

真衣 「やっと言ったね」

三人が振り向く。

真衣はそこに立っていた。

真衣 「予想よりは遅かったけど」

将規 「お前……」

真衣は軽く肩をすくめる。

真衣 「で、結論は?」

将規 「二人とも手放さない」

真衣は少しだけ目を細める。

真衣 「……一番面倒な答えだね」

真優 「ふざけてる」

美優 「そんなの許されない」

将規 「許されるかどうかじゃない」

将規 「もう決めた」

沈黙。

風が止まる。

そして、真衣が小さく笑った。

真衣 「じゃあ見せてよ」

真衣 「その“選ばない選択”が、どこまで続くのか」

真優も、美優も、まだ動けないまま。

屋上の扉は開いたまま。

夕方の光だけが、まっすぐ差し込んでいた。

第91話 完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ