第78話「双子との休日」
日曜日。
午前九時。
駅前広場。
将規 「早く着きすぎたな」
待ち合わせは九時半。
だが将規は三十分前に来ていた。
すると。
真優 「あっ」
美優 「いた」
将規 「なんでいるんだよ」
真優 「それはこっちの台詞」
美優 「三十分前」
将規 「お前らもだろ」
三人は顔を見合わせた。
そして。
笑った。
玲美愛なら。
「青春だー!」
と騒ぎそうな光景だった。
今日の目的はショッピングモール。
映画。
ゲームセンター。
昼食。
ごく普通の休日。
のはずだった。
モール到着。
真優 「まずどこ行く?」
美優 「服見たい」
将規 「女子だな」
真優 「何それ」
美優 「失礼」
将規 「褒めてる」
真優 「雑」
三人で笑う。
服屋。
真優 「これどうかな?」
将規 「似合うと思う」
真優 「本当?」
将規 「ああ」
真優の顔が少し赤くなる。
美優 「私は?」
将規 「それも似合う」
美優 「ありがとう」
普段より少し嬉しそうだった。
昼。
フードコート。
真優 「なんか不思議だね」
将規 「何が」
真優 「こうやって遊ぶの」
美優 「学校以外で」
将規 「そうだな」
少し沈黙。
将規 「でも楽しい」
真優 「!」
美優 「!」
将規 「何だよ」
真優 「今の嬉しい」
美優 「かなり」
将規 「そうか」
午後。
ゲームセンター。
真優 「勝負!」
将規 「受けて立つ」
美優 「負けない」
結果。
真優 一位
美優 二位
将規 三位
将規 「おかしいだろ」
真優 「弱い」
美優 「弱い」
将規 「双子怖い」
二人は大笑いした。
夕方。
観覧車の見える広場。
三人はベンチに座っていた。
夕日。
秋の風。
真優 「今日はありがとう」
将規 「こっちこそ」
美優 「楽しかった」
将規 「ああ」
そして。
将規 「今まで気付かなかった」
真優 「?」
美優 「?」
将規 「二人とも意外と負けず嫌いなんだな」
真優 「意外と?」
美優 「かなりだよ」
将規 「そうだったのか」
真優 「知らなかった?」
将規 「知らなかった」
三人で笑う。
その時。
将規は思った。
真優といると安心する。
美優といると落ち着く。
二人といると自然に笑える。
それは特別なことだった。
帰り道。
真優 「返事」
将規 「……」
美優 「急がなくていい」
真優 「でも」
美優 「待ってる」
将規 「ああ」
真剣な表情で頷いた。
その頃。
真衣。
自室。
窓の外を見ていた。
今日。
将規は真優と美優と出掛けている。
それを知っていた。
真衣 「強敵だなぁ」
苦笑する。
でも。
真衣 「負けない」
静かに呟く。
恋はまだ終わらない。
そして将規の心も。
少しずつ。
確実に答えへ近付いていた。
第78話 完




