第73話「二つの想い」
日曜日。
ショッピングモール。
真衣は将規と並んで歩いていた。
真衣 「今日はどこ行く?」
将規 「お前が決めたんだろ」
真衣 「それもそう」
二人は笑う。
映画デートの後ということもあり、以前より自然に話せるようになっていた。
真衣 「ねぇ」
将規 「ん?」
真衣 「最近どう?」
将規 「何がだ」
真衣 「私のこと」
将規 「急だな」
真衣 「答えて」
将規は少し考えた。
将規 「楽しいよ」
真衣 「!」
真衣 「そっか」
嬉しかった。
でも。
なぜか少しだけ不安もあった。
その頃。
真優と美優。
二人は公園のベンチに座っていた。
真優 「決めた?」
美優 「うん」
真優 「私も」
風が吹く。
二人は空を見上げた。
真優 「ずっと一緒だったね」
美優 「うん」
真優 「何でも半分こだった」
美優 「うん」
真優 「でも」
美優 「今回は違う」
真優 「そう」
少し沈黙。
そして。
美優が笑った。
美優 「後悔したくない」
真優 「私も」
美優 「だから言う」
真優 「うん」
二人は立ち上がった。
夕方。
将規が帰宅しようとしていた時だった。
スマホが鳴る。
真優からのメッセージ。
『少しだけ時間ある?』
続いて。
美優からも。
『来てほしい場所がある』
将規 「?」
指定された場所は河川敷だった。
夕焼けが空を染めている。
そこには。
真優と美優が並んで立っていた。
将規 「どうしたんだ?」
真優 「来てくれてありがとう」
美優 「うん」
どこか緊張している。
将規もその空気を感じ取った。
真優 「将規くん」
将規 「ん?」
真優 「私ね」
声が少し震える。
でも。
真優はまっすぐ前を向いた。
真優 「好きです」
将規 「……!」
将規が目を見開く。
真優は続けた。
真優 「優しくて」
真優 「一緒にいると楽しくて」
真優 「気付いたら好きになってた」
将規は言葉を失った。
すると。
隣の美優が一歩前に出る。
美優 「私も」
将規 「!」
美優 「好きです」
静かな声だった。
でも。
その想いは真っ直ぐだった。
美優 「ずっと言えなかった」
美優 「でも」
美優 「後悔したくないから」
夕風が吹く。
誰も喋らない。
将規は二人を見る。
真優。
美優。
ずっと一緒にいた双子。
大切な友達。
そう思っていた。
でも。
今。
二人の顔は。
友達ではなく。
一人の女の子として見えていた。
真優 「返事は急がなくていい」
美優 「うん」
真優 「ちゃんと考えて」
美優 「待ってる」
将規 「……分かった」
それしか言えなかった。
二人は少し笑った。
緊張が解けたような笑顔だった。
その夜。
真衣のスマホが鳴る。
玲美愛からだった。
『大変!!』
真衣 「?」
『真優ちゃんと美優ちゃんが告白した!!』
真衣 「……」
画面を見つめる。
しばらく動けなかった。
そして。
小さく笑う。
真衣 「やっぱり」
予感はあった。
真衣 「負けないから」
静かな声で呟く。
一方。
将規は自室のベッドに座っていた。
頭の中には。
真優の言葉。
美優の言葉。
そして。
真衣の笑顔。
将規 「どうすればいいんだよ……」
初めてだった。
こんなに誰かのことを真剣に考えるのは。
恋の物語は。
ついに大きな転機を迎えた。
第73話 完




