第72話「双子への応援」
球技大会から数日後。
一年二組。
朝の教室。
真優と美優が教室に入ると、なぜか周囲が少しざわついた。
真優 「?」
美優 「?」
玲美愛 「来た来た!」
真優 「どうしたの?」
玲美愛 「二人とも有名人!」
真優 「え?」
美優 「有名人?」
玲美愛はスマホを見せる。
そこには学校の生徒たちのグループチャット。
『一年二組の双子すごかった』
『ソフトボールの打球やばい』
『双子なのに息ぴったり』
『かっこよかった』
真優 「……」
美優 「……」
真優 「恥ずかしい」
美優 「すごく」
玲美愛 「もっと喜んで!」
雅也 「事実だろ」
賢太郎 「活躍してたしな」
将規 「うん」
真優 「将規くんもそう思う?」
将規 「思うけど」
真優 「!」
美優 「!」
将規 「普通にすごかった」
真優 「ありがとう」
美優 「嬉しい」
二人とも少し照れていた。
昼休み。
中庭。
真優と美優はベンチで話していた。
真優 「なんか不思議」
美優 「うん」
真優 「目立つの慣れてない」
美優 「私も」
すると。
後ろから声がした。
女子生徒A 「あの!」
真優 「え?」
女子生徒B 「ソフトボールやってたんですか?」
美優 「小学校まで」
女子生徒A 「すごかったです!」
少し話したあと。
女子生徒たちは去っていった。
真優 「本当に話しかけられた」
美優 「初めてかも」
二人は顔を見合わせて笑った。
その頃。
将規たち男子グループ。
雅也 「最近気付いた」
将規 「何を」
雅也 「双子って意外と人気ある」
将規 「意外ってなんだ」
賢太郎 「落ち着いてるからな」
雅也 「話しやすいし」
将規は少し考えた。
真優。
美優。
確かに。
一緒にいると落ち着く。
賢太郎 「将規」
将規 「ん?」
賢太郎 「顔が優しい」
将規 「は?」
雅也 「今、双子のこと考えてたろ」
将規 「なんで分かる」
雅也 「分かる」
放課後。
教室。
真衣が将規の席へやって来た。
真衣 「将規」
将規 「なんだ」
真衣 「今度の日曜」
将規 「またか」
真衣 「また」
将規 「今度は何だ」
真衣 「ショッピング」
将規 「どれだけ出かける気だ」
真衣 「たくさん」
将規 「正直だな」
そこへ。
真優と美優がやって来る。
真優 「楽しそう」
真衣 「楽しい」
美優 「即答」
真衣 「二人も誘えばいい」
真優 「!」
美優 「!」
将規 「変なこと言うな」
真衣 「本音」
一瞬だけ。
空気が止まる。
三人とも少し照れてしまった。
その頃。
玲美愛。
校門前。
葉山龍太郎を待っていた。
龍太郎 「お待たせしました!」
玲美愛 「全然待ってない!」
実際は十五分待っていた。
龍太郎 「次の日曜日ですね」
玲美愛 「うん!」
龍太郎 「楽しみです」
玲美愛 「私も!」
龍太郎が笑う。
玲美愛も笑う。
少し前なら緊張で話せなかった。
でも今は違う。
帰り道。
真優と美優。
夕日が二人を照らしていた。
真優 「ねぇ」
美優 「うん」
真優 「最近少しだけ自信ついた」
美優 「私も」
真優 「将規くんに褒められたからかな」
美優 「かも」
真優 「でも」
美優 「?」
真優 「まだまだ負けない」
美優 「私も」
二人は笑った。
姉妹であり。
ライバルでもある。
でも。
その関係は変わらない。
一方。
将規は帰り道で考えていた。
真衣。
真優。
美優。
最近は三人の顔ばかり浮かぶ。
将規 「……」
まだ答えは出ない。
しかし。
その心は少しずつ。
確実に変わり始めていた。
第72話 完




