第69話「双子の作戦会議」
月曜日の放課後。
一年二組の教室。
生徒たちが次々と帰っていく中、
真優と美優は珍しく二人だけで残っていた。
真優 「そろそろ本気で考えようか」
美優 「うん」
真優 「このままだと真衣ちゃんに全部持っていかれる」
美優 「否定できない」
真優 「映画まで行ったし」
美優 「観覧車も」
真優 「強いなぁ」
美優 「強い」
二人は同時にため息をついた。
真優 「でも」
美優 「うん」
真優 「負ける気はない」
美優 「私も」
その言葉に嘘はなかった。
真優 「作戦会議しよう」
美優 「いいね」
真優 「恋愛の」
美優 「人生初」
真優 「私も」
二人はノートを開いた。
表紙には大きく。
『将規攻略会議』
と書かれている。
美優 「恥ずかしい」
真優 「今さらだよ」
真優 「まず将規くんの特徴」
美優 「鈍感」
真優 「かなり」
美優 「重症」
真優 「異議なし」
美優 「優しい」
真優 「うん」
美優 「困ってる人放っておけない」
真優 「確かに」
真優 「問題は」
美優 「うん」
真優 「自分が好かれてると思ってない」
美優 「それ」
二人は完全に一致した。
一方その頃。
将規。
くしゃみ。
将規 「誰か噂してるな」
雅也 「心当たりしかないだろ」
賢太郎 「三人ほど」
将規 「ない」
雅也 「ある」
放課後。
ファミレス。
真優と美優は作戦会議の続きをしていた。
真優 「まずは距離を縮める」
美優 「基本」
真優 「自然に」
美優 「焦らず」
真優 「でもさ」
美優 「うん」
真優 「同じ人好きって不思議だね」
美優 「うん」
真優 「昔は何でも半分こだったのに」
美優 「今回は無理」
真優 「そうだね」
少しだけ寂しそうに笑う。
美優 「でも」
真優 「?」
美優 「姉妹は変わらない」
真優 「うん」
美優 「誰が選ばれても」
真優 「……うん」
美優 「私はお姉ちゃん好き」
真優 「!」
真優は少し驚く。
美優 「だから大丈夫」
真優 「……」
真優は笑った。
真優 「ありがとう」
その頃。
真衣。
自室。
机に向かっていた。
だが。
勉強は進んでいない。
真衣 「……」
映画館。
フードコート。
帰り道。
全部思い出す。
真衣 「前より近づいた気がする」
小さく呟く。
でも。
油断はしていない。
真衣 「真優ちゃんも」
真衣 「美優ちゃんも」
本気だから。
一方。
玲美愛。
教室。
龍太郎と話していた。
玲美愛 「次どこ行きたい?」
龍太郎 「え?」
玲美愛 「え?」
龍太郎 「もう次あるんですか?」
玲美愛 「あるでしょ!」
龍太郎 「あります!」
玲美愛 「よし!」
雅也 「順調だな」
賢太郎 「順調だな」
夕方。
帰り道。
真優と美優。
並んで歩く。
夕日が二人を照らしていた。
真優 「ねぇ」
美優 「うん」
真優 「絶対後悔したくない」
美優 「うん」
真優 「だから頑張る」
美優 「私も」
二人は立ち止まる。
そして。
同時に拳を軽く合わせた。
コツン。
真優 「正々堂々」
美優 「正々堂々」
真優 「負けないよ」
美優 「私も」
双子の恋は、
新しい段階へ進もうとしていた。
そして。
将規はまだ知らない。
自分を巡って、
三人の少女たちが本気で動き始めていることを。
第69話 完




