第57話「最後のリレー」
体育祭、最終競技。
クラス対抗・男女混合リレー
校庭の空気が一気に張り詰める。
一年二組のアンカー順は決まっていた。
1番手:真優
2番手:葉山龍太郎
3番手:美優
4番手:賢太郎
5番手:真衣
6番手:雅也
7番手:玲美菜
アンカー:玲美愛
玲美愛 「アンカー私!?」
雅也 「適任だろ」
賢太郎 「騒がしいし」
玲美愛 「褒めてる?」
スタート位置。
真優はバトンを握っていた。
真優 「……緊張する」
美優 「頑張って」
真衣 「いけるよ」
将規はその様子を少し離れた場所で見ていた。
将規 (真優、速いんだよな)
ピストルが鳴る。
パンッ!
第一走者・真優
真優は一気に飛び出した。
無駄のないフォーム。
綺麗な加速。
観客 「速い!」
玲美愛 「真優ちゃんやば!」
雅也 「安定してるな」
真優はそのまま順位を落とさず走り切る。
バトンパス。
第二走者・龍太郎
葉山龍太郎 「いきます!」
少し緊張しながらも全力疾走。
フォームは荒いが勢いはある。
玲美愛 「龍太郎がんばれー!」
観客 「おおお!」
バトン成功。
第三走者・美優
美優は静かに走り出す。
美優 (落ち着いて)
呼吸を一定に。
無駄を削った走り。
真衣 「綺麗な走り方」
将規 「……あいつ速いな」
真優 「うん」
美優は順位を安定させたまま次へ。
第四走者・賢太郎
賢太郎は冷静だった。
賢太郎 「任せろ」
一気に加速。
雅也 「普通に速いなあいつ」
玲美愛 「意外!」
順位は大きく崩れない。
第五走者・真衣
空気が変わる。
真衣 「ここからだね」
将規 「また暴れる気か」
真衣 「勝つから」
ダッ!
一気にトップスピード。
観客 「速っ!」
雅也 「バケモンか」
賢太郎 「追い上げてきた」
真衣は順位を一気に押し上げる。
バトンへ。
第六走者・雅也
雅也 「行くぞ」
落ち着いた加速。
無駄がない走り。
美優 「速い」
真優 「安定してる」
順位を維持。
第七走者・玲美菜
玲美菜 「がんばる!」
全力ダッシュ。
少しふらつきながらも必死に走る。
玲美愛 「いけー!」
観客 「がんばれー!」
なんとか次へつなぐ。
そして。
アンカー・玲美愛
玲美愛 「ついに来たぁぁぁ!!」
葉山龍太郎 「頼みます!」
玲美愛 「任せて!」
バトンを受け取る。
その瞬間。
玲美愛の目が変わった。
玲美愛 (負けたくない)
(龍太郎の前でカッコ悪いのは嫌!)
ダッ!
走り出す。
観客 「速い!」
雅也 「え、意外と速い!」
賢太郎 「本気出してる」
真衣 「頑張ってるね」
真優 「うん」
美優 「……」
順位は僅差。
前はまだ見える。
玲美愛 「いけるいけるいける!」
足がもつれそうになる。
その時
一瞬だけ。
龍太郎の声が聞こえた気がした。
葉山龍太郎 「玲美愛さん!」
玲美愛 「っ!」
さらに加速。
ゴール直前。
玲美愛 「うわああああ!!」
ダッシュ。
転びかける。
でも
ゴールテープへ。
パンッ!
静寂。
そして。
放送 『一年二組、総合……上位入賞!』
校庭 「おおおおお!!」
玲美愛はそのまま倒れ込む。
玲美愛 「……死んだ」
葉山龍太郎 「お疲れっす!」
玲美愛 「龍太郎ぉ……」
葉山龍太郎 「はい?」
玲美愛 「かっこよすぎ……」
葉山龍太郎 「え?」
玲美愛は顔を真っ赤にする。
玲美愛 (やばい)
(これ完全に……)
少し離れた場所。
真優 「終わったね」
美優 「うん」
真衣 「楽しかった」
真優 「……でも」
美優 「うん」
二人は同時に将規を見る。
将規は少し遠くで空を見ていた。
その横顔が、いつもより少しだけ違って見えた。
体育祭は終わった。
でも。
何かが始まってしまった。
それぞれの気持ちは、
もう止まらない場所へ向かっていた。
第57話 完




