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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第53話「体育祭前夜」

体育祭前日。

校内はどこか落ち着かない空気に包まれていた。

一年二組の教室。

黒板には大きく書かれている。

「明日:体育祭」

玲美愛 「ついに来たぁぁぁ!!」

雅也 「うるさい」

賢太郎 「落ち着け」

葉山龍太郎 「緊張してきたっす」

玲美愛 「え、龍太郎でも緊張するの?」

葉山龍太郎 「そりゃしますよ!」

玲美愛 「ふーん……」

その「ふーん」は、昨日までと違う響きだった。


真優は机で準備物を確認していた。

真優 「忘れ物ないかな……」

美優 「大丈夫」

真優 「だよね」

少し沈黙。

真優 「明日だね」

美優 「うん」

真優 「……なんかさ」

美優 「?」

真優 「ちょっと変な感じ」

美優 「分かる」

二人は顔を見合わせる。

真優 「楽しいのに」

美優 「落ち着かない」

真優 「うん」

理由は分かっている。

でも言葉にできない。


放課後。

校庭。

真衣と将規は最後の練習をしていた。

真衣 「いくよ!」

将規 「ちょっと待て!」

真衣 「はいスタート!」

ダッ

将規 「おい速い!」

真衣 「明日これくらいでいく!」

将規 「無理だろ!」

真衣 「大丈夫!」

転びかける。

将規 「危ねぇ!」

支える。

一瞬距離が近くなる。

真衣 「……ありがと」

将規 「気を付けろ」

真衣 「うん」

そのまま見つめる。

真衣 「ねえ将規」

将規 「ん?」

真衣 「明日、勝とうね」

将規 「体育祭だぞ」

真衣 「でも勝ちたいのは本当」

真剣な目。

将規は少しだけ黙る。

将規 「……ああ」

真衣 「よし」

笑顔に戻る。

でもその笑顔は、いつもより少しだけ柔らかかった。


その頃。

真優と賢太郎。

真優 「ペア、大丈夫かな」

賢太郎 「問題ない」

真優 「ほんと?」

賢太郎 「お前が普通に走れば勝てる」

真優 「雑な信頼」

賢太郎 「でも事実だろ」

真優 「まぁね」

少し笑う。

真優 「賢太郎くんってさ」

賢太郎 「ん?」

真優 「意外と優しいよね」

賢太郎 「今さらだな」

真優 「ふふ」

空気は穏やかだった。

でも真優の視線は、時々別の方向へ向く。

そこには、将規がいる場所があった。


美優と雅也。

美優 「明日、ちゃんと走って」

雅也 「命令か?」

美優 「お願い」

雅也 「急に弱くなるな」

美優 「勝ちたい」

雅也 「珍しいな」

美優 「うん」

雅也は少しだけ笑う。

雅也 「いいじゃん、それで」

美優 「……うん」

短い会話。

でも不思議と落ち着く距離だった。


夜。

玲美愛の部屋。

玲美愛 「やばい」

玲美愛 「やばいやばいやばい」

ベッドの上で転がる。

玲美愛 「龍太郎の顔が浮かぶんだけど!」

玲美愛 「なんで!?今それじゃない!」

玲美愛 「いやでも明日会うし!」

玲美愛 「無理無理無理!」

初めての恋。

処理できない感情。

でも嫌じゃない。

むしろ。

少し楽しみ。

玲美愛 「……明日、か」

小さく呟く。

窓の外には静かな夜。

それぞれの想いが、

眠れない夜を作っていた。


そして将規。

部屋。

将規 「明日か……」

ベッドに寝転ぶ。

なぜか浮かぶ顔は三つ。

真衣。

真優。

美優。

将規 「なんでだよ……」

理由は分からない。

でも確かに。

今までとは違う“何か”が始まっている気がしていた。

体育祭前夜。

それぞれの心は揺れていた。

そして明日。

全てが動き出す。

第53話 完

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