第48話「体育祭実行委員」
二学期が始まって一週間。
放課後。
一年二組の教室では体育祭実行委員の初会議が行われていた。
参加者は――
玲美愛。
真優。
美優。
真衣。
そして各クラスの実行委員たち。
教室は賑やかだった。
玲美愛 「体育祭だーー!」
真衣 「おーー!」
真優 「元気だね」
美優 「すごい」
朝倉先生 「静かにしろ」
玲美愛 「はい!」
真衣 「はい!」
朝倉先生 「お前たちだけだ」
教室に笑いが起きる。
―――
会議が始まる。
種目決め。
係決め。
応援練習。
予想以上にやることは多かった。
玲美愛 「大変だね」
真優 「思ったよりね」
真衣 「でも楽しい!」
美優 「うん」
しばらくして。
朝倉先生が言った。
朝倉先生 「応援ポスターも必要だ」
玲美愛 「絵!」
真衣 「誰が描くの?」
朝倉先生 「希望者」
すると。
真優が手を挙げた。
真優 「やってみたいです」
美優 「私も手伝う」
玲美愛 「じゃあ私も!」
真衣 「私も!」
朝倉先生 「結局全員か」
再び笑いが起きた。
―――
会議終了後。
夕方。
教室には真優、美優、真衣の三人だけが残っていた。
ポスターの下書き中である。
真優 「この配置どうかな?」
美優 「いいと思う」
真衣 「こっちに旗入れたい」
真優 「あ、それいいかも」
意外だった。
真衣はぐいぐい来るタイプだが、
作業になると真面目だった。
美優 「上手」
真衣 「向こうで美術部だったから」
真優 「そうなんだ」
自然と会話も増える。
しかし。
数分後。
真衣が何気なく言った。
真衣 「そういえば将規ってさ」
真優 「!」
美優 「!」
真衣 「昔から運動得意だったよ」
真優 「へぇ」
美優 「知らなかった」
真衣 「リレーとか速かった」
真優 「そうなんだ」
真衣 「小学校の時ね」
少し嬉しそうな顔。
その表情を見て。
真優は少しだけ胸がざわついた。
美優も同じだった。
―――
その頃。
男子組。
将規。
雅也。
賢太郎。
三人は体育館で片付けをしていた。
雅也 「最近大変そうだな」
将規 「何が」
雅也 「女子」
将規 「?」
賢太郎 「本当に気付いてないのか」
将規 「何を」
雅也 「いや」
賢太郎 「やめとこう」
二人は顔を見合わせた。
将規だけが平常運転だった。
―――
翌日。
昼休み。
玲美愛が突然立ち上がった。
玲美愛 「決めた!」
雅也 「またか」
玲美愛 「体育祭特訓!」
真優 「特訓?」
美優 「何の?」
玲美愛 「リレー!」
真衣 「楽しそう!」
賢太郎 「嫌な予感」
玲美愛 「放課後みんなで走ろう!」
雅也 「強制か」
玲美愛 「強制です!」
朝倉先生 「お前にそんな権限はない」
全員 「ははは!」
教室が笑いに包まれる。
―――
放課後。
校庭。
結局みんな集まっていた。
玲美愛 「よーい!」
真優 「本当にやるんだ」
美優 「やるんだ」
真衣 「楽しみ!」
将規 「帰りたい」
雅也 「諦めろ」
賢太郎 「もう遅い」
そして。
スタート。
真優は意外と速い。
美優は安定している。
真衣も負けていない。
玲美愛は元気だけはあった。
玲美愛 「うわぁぁぁ!」
雅也 「フォームがひどい」
賢太郎 「転ぶぞ」
その瞬間。
玲美愛 「きゃっ!」
本当に転んだ。
全員 「あっ!」
将規がすぐ駆け寄る。
将規 「大丈夫か?」
玲美愛 「いたた……」
真優 「怪我は?」
美優 「血は出てない」
真衣 「良かった」
玲美愛 「みんな優しい……」
雅也 「騒がしいだけだからな」
玲美愛 「ひどい!」
再び笑いが起きた。
夕日が校庭を染める。
笑い声が響く。
体育祭はまだ始まっていない。
でも。
準備期間だけでも十分楽しかった。
そして。
誰も気付いていない。
体育祭本番で、
それぞれの想いがさらに大きく動くことになることを――。
第48話 完




