第34話「雷斗の来校」
遊園地から数日後。
一年二組の教室。
昼休み。
玲美愛 「また遊園地行きたい!」
雅也 「まだ言ってる」
賢太郎 「三日連続だぞ」
真優 「そんなに楽しかったんだ」
玲美愛 「楽しかった!」
美優 「私も楽しかった」
将規 「それはよかった」
その時。
ガラッ。
教室の扉が開いた。
朝倉先生だった。
朝倉先生 「真優」
真優 「はい?」
朝倉先生 「美優」
美優 「はい」
朝倉先生 「来客だ」
真優 「来客?」
美優 「誰だろう」
玲美愛 「気になる!」
朝倉先生 「お前は違う」
玲美愛 「なんで!?」
教室が笑いに包まれる。
数分後。
再び教室の扉が開いた。
そして入ってきた人物を見て、
真優と美優が同時に声を上げた。
真優 「お兄ちゃん!?」
美優 「雷斗兄」
そこにいたのは双子の兄、雷斗だった。
玲美愛 「おおー!」
雅也 「本当に来た」
賢太郎 「初めて見たな」
将規も少し驚いていた。
雷斗 「久しぶりだな」
真優 「どうしたの?」
美優 「急に」
雷斗 「近くまで来たから」
真優 「絶対違う」
美優 「違う」
雷斗 「ばれたか」
兄妹のやり取りに教室が和む。
朝倉先生 「少しだけなら構わない」
雷斗 「ありがとうございます」
そして雷斗は教室を見回した。
真優と美優が楽しそうに過ごしている。
友達と笑っている。
その光景を見て、
少し安心したように微笑んだ。
雷斗 「いいクラスだな」
真優 「でしょ?」
美優 「みんな優しい」
玲美愛 「もちろん!」
雅也 「自分で言うな」
賢太郎 「まあ否定はしない」
雷斗は笑った。
その後。
休み時間が終わりに近づく。
雷斗は帰る前に、
ふと将規へ視線を向けた。
雷斗 「少し話せるか?」
将規 「俺ですか?」
雷斗 「ああ」
玲美愛 「おおっ!?」
雅也 「騒ぐな」
放課後。
校舎裏。
将規と雷斗が並んでいた。
将規 「何でしょう」
雷斗 「別に大した話じゃない」
将規 「はい」
雷斗 「真優と美優」
将規 「……」
雷斗 「仲良くしてくれてるらしいな」
将規 「こちらこそ助けてもらってます」
雷斗 「そうか」
少し沈黙。
雷斗は空を見上げた。
雷斗 「あの二人な」
将規 「はい」
雷斗 「昔から似てるようで全然違う」
将規 「分かります」
雷斗 「真優は人の前で笑う」
将規 「はい」
雷斗 「美優は静かに支える」
将規 「そうですね」
雷斗 「だから二人とも大事にしてやってくれ」
将規 「もちろんです」
雷斗 「なら安心だ」
将規は少し不思議だった。
なぜか雷斗は、
何かを確かめるような目をしている。
雷斗 「将規」
将規 「はい」
雷斗 「お前、最近楽しそうだな」
将規 「え?」
雷斗 「前より表情が柔らかい」
将規 「そうですか?」
雷斗 「ああ」
将規は返事に困る。
雷斗は少し笑った。
雷斗 「まあいい」
将規 「?」
雷斗 「答えを急ぐなよ」
将規 「何のですか」
雷斗 「さあな」
意味深な笑み。
将規は首を傾げるしかなかった。
その頃。
教室では。
玲美愛 「絶対恋愛相談だ!」
雅也 「違うだろ」
賢太郎 「お前の頭の中はそれしかないのか」
真優 「何話してるんだろ」
美優 「気になる」
数分後。
将規が戻ってくる。
玲美愛 「どうだった!?」
将規 「普通の話だ」
玲美愛 「怪しい!」
雅也 「ほっとけ」
賢太郎 「ほっとけ」
真優 「お兄ちゃん何て?」
将規 「二人をよろしくって」
真優 「そう」
美優 「兄らしい」
二人は少し照れくさそうに笑った。
帰り際。
校門の外。
雷斗は一人で立っていた。
そして遠くから、
将規たち六人が笑いながら帰る姿を見る。
玲美愛が騒ぎ、
雅也が呆れ、
賢太郎が突っ込み、
真優と美優が笑い、
将規がその中心にいる。
雷斗 「なるほどな……」
小さく呟く。
そして静かに笑った。
雷斗 「まだ気付いてないのは本人だけか」
夕暮れの空の下。
六人の距離は少しずつ近付いていた。
そして将規の恋も、
ゆっくりと動き始めていた――。
第34話 完




