第32話「双子の誕生日」
朝。
一年二組の教室。
いつもより少しだけ騒がしかった。
なぜなら――。
今日は真優と美優の誕生日だからだ。
玲美愛は朝からソワソワしていた。
玲美愛 「まだかな」
雅也 「落ち着け」
賢太郎 「五分前から同じこと言ってるぞ」
将規 「絶対何かやらかす」
玲美愛 「失礼な!」
その時。
教室のドアが開いた。
真優 「おはよう」
美優 「おはよう」
玲美愛 「来たーーーー!!」
真優 「近い近い!」
美優 「びっくりした」
玲美愛 「誕生日おめでとう!!」
真優 「あ、ありがとう」
美優 「ありがとう」
雅也 「おめでとう」
賢太郎 「おめでとう」
将規 「誕生日おめでとう」
真優 「ありがとう」
美優 「ありがとう」
朝から温かい空気が流れた。
ホームルーム。
朝倉先生が教室へ入ってくる。
朝倉先生 「おはよう」
生徒達 「おはようございます」
朝倉先生は出席簿を置く。
そして。
朝倉先生 「そういえば」
真優と美優を見る。
朝倉先生 「誕生日だったな」
真優 「はい」
美優 「はい」
朝倉先生 「おめでとう」
クラス全員が拍手する。
真優 「ありがとうございます」
美優 「ありがとうございます」
玲美愛 「先生まで!」
朝倉先生 「担任だからな」
玲美愛 「かっこいい!」
雅也 「基準が分からん」
昼休み。
双子の机の周りにはたくさんのクラスメイトが集まっていた。
女子生徒 「おめでとう!」
男子生徒 「これプレゼント」
真優 「ありがとう!」
美優 「大切にする」
二人とも嬉しそうだった。
そして放課後。
玲美愛が突然立ち上がる。
玲美愛 「みんな準備!」
真優 「?」
美優 「?」
教室の電気が消える。
真優 「え?」
美優 「どうしたの?」
次の瞬間。
パンッ!
クラッカーの音が響いた。
全員 「誕生日おめでとう!!」
真優 「わあっ!」
美優 「……!」
二人とも目を丸くする。
黒板には大きな文字。
『真優ちゃん・美優ちゃん 誕生日おめでとう!』
玲美愛 「大成功!」
雅也 「意外とな」
賢太郎 「珍しく成功した」
玲美愛 「珍しくは余計!」
教室は笑いに包まれる。
真優は目を潤ませながら笑った。
真優 「ありがとう」
美優 「本当に嬉しい」
玲美愛 「やったー!」
その後。
みんなからプレゼントが渡される。
そして。
将規の番になった。
玲美愛 (来た……!)
雅也 (始まったな)
賢太郎 (静かにしろ)
将規 「はい」
真優 「?」
美優 「?」
将規は二つの包みを差し出した。
真優へ。
美優へ。
別々のプレゼントだった。
真優 「開けていい?」
将規 「ああ」
真優が包みを開く。
中には可愛いキーホルダーと小物入れ。
真優 「可愛い!」
満面の笑顔だった。
真優 「これすごく好き!」
将規 「ならよかった」
次に美優。
静かに包みを開く。
中には美優が好きそうなブックカバーとしおり。
美優 「……」
将規 「どうだ?」
美優は大事そうに手に取る。
そして。
美優 「嬉しい」
小さく微笑んだ。
将規 「そうか」
美優 「ちゃんと選んでくれたの分かる」
将規 「……」
真優 「私も!」
玲美愛 (きゃーーーー!!)
雅也 (うるさい)
賢太郎 (心の声が漏れてる)
放課後。
みんなで後片付けをする。
教室には笑い声が絶えない。
真優 「今年一番楽しい誕生日かも」
玲美愛 「やった!」
美優 「私もそう思う」
玲美愛 「やったー!」
朝倉先生 「よかったな」
真優 「はい」
美優 「ありがとうございます」
朝倉先生は少しだけ笑った。
そんな穏やかな時間。
将規は窓の外を見る。
夕日が校庭を照らしている。
その横では真優と美優が楽しそうに話していた。
二人の笑顔を見るだけで。
自分まで少し嬉しくなる。
将規 (本当に良かった)
その気持ちは自然なものだった。
そして。
真優も。
美優も。
将規からもらったプレゼントを大事そうに抱えていた。
少しずつ。
少しずつ。
三人の距離は近づいていた。
第32話 完




