第13話「兼次郎の勉強会」
卒業生との勉強会。
休憩時間が終わり、
いよいよ本格的な学習指導が始まった。
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講堂の机が移動され、
各クラスごとにグループが作られる。
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一年二組の担当は――
もちろん。
兼次郎だった。
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玲美愛
「終わった」
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雅也
「始まったんだよ」
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将規
「なんで終わった扱いなんだ」
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真優
「面白そう」
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美優
「面白そう」
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兼次郎は席へ座る。
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兼次郎
「そんなに緊張しなくていい」
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玲美愛
「無理です」
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即答。
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全員が笑う。
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兼次郎
「じゃあまず聞こう」
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「今回のテストで一番悔しかった教科は?」
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しばらく沈黙。
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すると。
真衣が手を挙げた。
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真衣
「数学です」
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兼次郎
「理由は?」
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真衣
「分かってた問題をミスしました」
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兼次郎
「なるほど」
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頷く。
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兼次郎
「じゃあそのミスは才能不足じゃないな」
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真衣
「え?」
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兼次郎
「ただの確認不足だ」
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「次から見直しを増やせば改善できる」
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真衣
「……確かに」
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少し安心したような表情。
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兼次郎
「できない問題より」
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「できる問題を落とす方が危険だ」
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全員がメモを取る。
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次に。
賢太郎。
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賢太郎
「英語ですね」
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兼次郎
「長文か?」
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賢太郎
「はい」
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兼次郎
「読む量が足りない」
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即答。
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賢太郎
「やっぱりですか」
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兼次郎
「毎日五分でも読む習慣を作れ」
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「勉強は時間より継続だ」
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賢太郎
「なるほど」
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その後も質問が続く。
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雅也。
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将規。
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真優。
☆
美優。
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それぞれが悩みを相談し、
兼次郎が的確に答えていく。
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一年二組。
全員が真剣だった。
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そして。
最後。
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兼次郎
「玲美愛」
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玲美愛
「ひっ」
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指名された。
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雅也
「悲鳴やめろ」
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兼次郎
「79点だったな」
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玲美愛
「はい……」
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兼次郎
「悔しかったか?」
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玲美愛
「え?」
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少し考える。
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玲美愛
「嬉しかったです」
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兼次郎
「そうだろうな」
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全員笑う。
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玲美愛
「だって平均超えましたし!」
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兼次郎
「それも立派な成果だ」
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玲美愛
「ですよね!?」
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急に元気になる。
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兼次郎
「ただ」
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玲美愛
「はい」
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兼次郎
「本音を言うと」
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「あと一問で80点だった」
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玲美愛
「うっ」
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痛いところを突かれた。
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兼次郎
「惜しかったと思わなかったか?」
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玲美愛
「……思いました」
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兼次郎
「なら次は取れる」
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玲美愛
「え?」
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兼次郎
「79点を取った人は」
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「80点以上を狙える人だ」
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玲美愛が目を見開く。
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兼次郎
「自分を過小評価するな」
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静かに言う。
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兼次郎
「努力した結果が79点なんだ」
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「胸を張れ」
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玲美愛
「……はい」
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少しだけ目が潤む。
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真衣
「良かったね」
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真優
「認められた」
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美優
「認められた」
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雅也
「頑張ったからな」
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将規
「次は80超えだな」
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玲美愛
「みんな優しい……」
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勉強会終了後。
帰り道。
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夕日が街を染めていた。
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玲美愛
「ねえ」
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真衣
「うん?」
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玲美愛
「私」
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少し照れながら言う。
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玲美愛
「85点目指そうかな」
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一瞬静かになる。
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そして。
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雅也
「いいじゃん」
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将規
「応援する」
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真優
「頑張ろう」
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美優
「頑張ろう」
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賢太郎
「次のテストが楽しみだな」
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真衣
「絶対いけるよ」
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玲美愛
「……うん!」
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大きく頷いた。
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伝説世代との出会い。
それは単なる勉強会ではなかった。
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誰かに認められること。
期待されること。
それがどれほど人を前向きにするのか。
☆
玲美愛は初めて知った。
☆
そして――
一年二組の新しい挑戦が始まる。
☆
第13話 完




