表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

208/434

第8話「特進クラス、卒業生の進路指導」

入学から数週間。

一年二組にも少しずつ高校生活のリズムができ始めていた。

そんなある日の朝。

朝倉先生が教室へ入ってくるなり、一枚のプリントを掲げた。

「今日は午後から特別授業を行います」

教室がざわつく。

玲美愛が真っ先に反応した。

「特別授業!?」

雅也が嫌な予感しかしない顔をする。

「どうせまたあの人たち絡みだろ」

将規も頷く。

「俺もそう思う」

朝倉先生が苦笑する。

「鋭いね」

そして黒板に大きく書いた。

『特進クラス・卒業生進路指導会』

教室。

「やっぱりか!!」

大合唱だった。

真衣は机に突っ伏した。

「もう慣れたくない……」

賢太郎もため息を吐く。

「絶対兄貴来るだろ」

「来ると思う」

「来るな」

「無理だと思う」

昼休みが終わる。

一年生の特進クラスと希望者が視聴覚室へ集められた。

広い教室。

前方には長机が並べられている。

そこに座っていたのは――

兼次郎。

瑠姫愛。

龍也。

大将。

結衣。

玲緒菜。

一将。

見慣れた顔ぶれだった。

会場がざわつく。

「本物だ……」

「また来てる……」

「オーラやばい」

「卒業生なのに存在感すごい」

学年主任がマイクを持つ。

「静かに」

すぐに会場が静まった。

学年主任は卒業生たちを見ながら言う。

「今日は進路について話してもらう」

「将来を考えるきっかけにしてほしい」

そして最初に立ち上がったのは兼次郎だった。

「兼次郎です」

それだけで空気が引き締まる。

「法学部卒業後、現在は弁護士をしています」

一年生たちがざわつく。

真衣も思わず姿勢を正した。

兼次郎は続ける。

「法律は人を縛るためだけのものじゃない」

「人を守るためにある」

静かな声。

しかし不思議と耳に入る。

「だから法学部へ行きたい人は、『何を守りたいか』を考えてほしい」

その言葉に賢太郎は少し考え込む。

次に立ったのは瑠姫愛。

「私は検察官です」

会場がさらにざわつく。

「検察官って怖いイメージある?」

数人が頷く。

瑠姫愛は笑った。

「まあ否定はしない」

会場が笑いに包まれる。

「でも正義感だけじゃ続かない仕事だよ」

「冷静さも必要」

その言葉に皆真剣に聞き入る。

続いて龍也。

「同じく法学部出身」

「今は弁護士」

短い。

非常に短い。

学年主任が苦笑する。

「もう少し話せ」

龍也。

「嫌です」

会場大爆笑。

次は大将。

「法学部は勉強量が多い」

会場が静まる。

「本当に多い」

さらに静まる。

「覚悟して来い」

その一言に法学部志望者たちの顔が引きつった。

そして後半。

教育学部組。

結衣が前へ出る。

「保育士をしています」

真衣が少し誇らしい気持ちになる。

「子どもが好きだけじゃ続かない」

「でも好きじゃないと始まらない」

優しい声だった。

玲緒菜も続く。

「小学校教師です」

玲美菜が少し驚く。

「教師って毎日大変です」

「でも子どもの成長を見るのは楽しい」

会場が静かに聞き入る。

最後に一将。

「高校教師です」

将規が小さく吹き出した。

「兄貴が先生……」

一将が聞き逃さなかった。

「何か言ったか」

将規。

「何も言ってません」

即答だった。

会場はまた笑いに包まれる。

進路指導会終了後。

一年二組は教室へ戻る。

玲美愛が大きく伸びをした。

「なんかすごかったね」

雅也も頷く。

「思ったより真面目だった」

将規。

「兄貴たち普通にすごい人だった」

真優。

「知ってた」

美優。

「今さら」

真衣は窓の外を見る。

少し前まで。

兄姉たちは「伝説世代」としか思っていなかった。

でも今日。

少しだけ違った。

伝説じゃない。

ちゃんと努力して、自分の道を歩いてきた人たちだった。

賢太郎も同じことを考えていたらしい。

「兄貴も色々やってたんだな」

真衣が笑う。

「私たちも頑張らないとね」

賢太郎も小さく笑った。

「だな」

高校生活はまだ始まったばかり。

だが。

将来へ続く道は、少しずつ見え始めていた。

第8話 完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ