第5話「最初のホームルーム」
入学式が終わり。
新入生たちは、それぞれの教室へ向かっていた。
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一年二組。
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真新しい教室。
新しい机。
新しいクラスメイト。
窓の外では桜が揺れている。
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真衣 「なんか変な感じ……」
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玲美愛 「分かる!」
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雅也 「まだ始まって一時間だぞ」
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玲美愛 「もう三年くらいいる気分」
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将規 「早すぎる」
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真優 「人生二周目」
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美優 「高校生活終了」
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玲美愛 「始まってすらない!」
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教室のあちこちから笑い声が聞こえる。
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そんな中。
ガラッ。
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担任の先生が入ってきた。
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眼鏡をかけた若い女性教師。
さっき廊下で会った先生だった。
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先生 「はいはい、席についてー」
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少しずつ静かになる。
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先生は黒板に名前を書く。
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『朝倉 葵』
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朝倉先生 「今日から一年二組の担任になる朝倉葵です」
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拍手。
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朝倉先生 「担当教科は国語」
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玲美愛 (優しそう)
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雅也 (怒らせたら怖そう)
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将規 (絶対怒らせるな)
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真優 (同感)
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美優 (同感)
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朝倉先生 「今、失礼なこと考えた人いる?」
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全員 「!?」
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朝倉先生 「顔に出てるよー?」
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教室がどっと笑う。
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真衣も思わず吹き出した。
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朝倉先生 「じゃあまず自己紹介からかな」
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教室に少し緊張が走る。
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新しいクラス。
新しい人間関係。
みんな少しだけ身構えていた。
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朝倉先生 「そんなに難しく考えなくていいからね」
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「名前と趣味くらいで十分」
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一人目から順番に始まる。
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野球が好きな男子。
読書好きの女子。
ゲーム好き。
音楽好き。
アニメ好き。
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少しずつクラスの空気が柔らかくなる。
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そして。
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真衣の番。
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真衣 「えっと……真衣です」
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少し緊張する。
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真衣 「趣味は読書と映画を見ることです」
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「よろしくお願いします」
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拍手。
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無事終わった。
そう思った瞬間。
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朝倉先生 「卒業生代表だった子だよね?」
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真衣 「えっ」
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教室がざわつく。
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男子 「すごくね?」
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女子 「代表だったんだ」
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真衣 「いや、その……」
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顔が熱くなる。
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玲美愛 (頑張れ)
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雅也 (無理そう)
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将規 (顔真っ赤)
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真優 (真っ赤)
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美優 (真っ赤)
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真衣 「忘れてください……」
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さらに笑いが起きた。
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そして。
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賢太郎の番。
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賢太郎 「賢太郎です」
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「趣味はバスケと映画鑑賞です」
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簡潔。
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朝倉先生 「終わり?」
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賢太郎 「終わりです」
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朝倉先生 「短いね」
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賢太郎 「話すの得意じゃないので」
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男子 「かっけぇ」
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女子 「ずるい」
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賢太郎 「何がですか」
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教室がまた笑う。
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自己紹介は続く。
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玲美愛は元気いっぱい。
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玲美愛 「趣味は友達と遊ぶことです!」
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朝倉先生 「友達多そう」
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玲美愛 「先生も友達になります?」
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朝倉先生 「先生だから無理かな」
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爆笑。
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真優と美優は相変わらず短い。
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真優 「真優です」
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「趣味は寝ること」
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美優 「美優です」
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「趣味は寝ること」
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朝倉先生 「双子?」
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二人 「違います」
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朝倉先生 「息ぴったりじゃん」
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また笑い声。
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ホームルームが終わる頃には。
教室の空気はかなり柔らかくなっていた。
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朝倉先生 「よし」
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「一年間、みんなで楽しいクラスを作ろう」
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その言葉に。
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みんなが自然と頷いた。
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放課後。
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校門へ向かう途中。
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玲美愛 「朝倉先生当たりじゃない?」
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雅也 「分かる」
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将規 「話しやすそう」
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真優 「面白い」
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美優 「面白い」
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真衣 「ちょっと安心した」
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賢太郎 「だな」
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新しいクラス。
新しい先生。
新しい仲間たち。
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不安はまだある。
でも。
今日一日で少しだけ思った。
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――この高校生活、案外楽しいかもしれない。
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春の夕日が校舎を照らしていた。
第5話 完




