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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第82話「一人でも選べるか」

夏の夕方は、まだ明るさを引きずっていた。

結衣はカフェを出てから、すぐに帰る気になれず駅前の広場を通り抜ける。

人の流れの中で、さっきの言葉だけが残っていた。

『一人でもその学校を選ぶか』

スマホが震える。

真衣からではない。

龍也のグループ通知。

『今日、いつものとこ』

それだけ。

結衣は一度だけ画面を見て、歩き出す。

駅前の広場。

すでに数人が集まっている。

龍也 「遅い!!」

結衣 「普通」

龍也 「それもう言い訳になってない!」

一将 「事実だろ」

龍也 「お前も言うな!!」

雷斗 「うるさい」

瑠姫愛 「落ち着いて」

玲緒菜 「変わらないね」

結衣はその空気に入ると、少しだけ肩の力が抜けた。

でも、頭の中はまださっきのままだった。

歩きながら、玲緒菜が隣に来る。

玲緒菜 「何かあった?」

結衣 「ちょっとね」

玲緒菜 「真衣ちゃん?」

結衣 「うん」

少しだけ沈黙。

玲緒菜 「まだ悩んでるんだ」

結衣 「進学先」

玲緒菜 「一緒に行く子の話?」

結衣 「知ってるの?」

玲緒菜 「なんとなく」

玲緒菜は前を見ながら続ける。

玲緒菜 「一緒に行くって、悪くないと思うよ」

結衣 「でもさ」

結衣 「それが“理由”になっていいのか分からない」

玲緒菜 「理由か……」

少し風が吹く。

玲緒菜は少し間を置いてから言う。

玲緒菜 「理由って、最初はそんなに綺麗じゃなくない?」

結衣 「え?」

玲緒菜 「不安とか、安心とか、誰かと一緒とか」

玲緒菜 「そういうの全部混ざって選ぶでしょ」

結衣はその言葉に少しだけ立ち止まる。

玲緒菜 「あとから整理すればいいんじゃない?」

結衣 「整理?」

玲緒菜 「うん。選んだ後に、“自分の理由”にしていく」

結衣はゆっくり歩き出す。

結衣 「それ、いいのかな」

玲緒菜 「いいと思う」

玲緒菜 「だって、今の私たちもそうじゃない?」

結衣は少しだけ笑う。

結衣 「確かに」

広場に戻ると、龍也がまた騒いでいる。

龍也 「でさ!次いつ集合する?」

一将 「決まってない」

龍也 「またかよ!!」

瑠姫愛 「それがいいんじゃない?」

雷斗 「いつものことだ」

玲緒菜 「そういう関係だよね」

結衣はその光景を見ながら、少しだけ思う。

“理由が曖昧でも続いているものがある”

それはたぶん、進路よりも前から知っている感覚だった。

帰り道。

結衣は一人になったあと、スマホを取り出す。

真衣へメッセージ。

『一人でもその学校選ぶか、考えてみて』

送信してから、少しだけ迷う。

そして付け足す。

『答え急がなくていい』

すぐ既読。

返信はまだない。

結衣は空を見上げる。

少しだけ雲が流れている。

結衣 「……私も、ちゃんと考えないと」

小さく呟いて、歩き出した。

選ぶ側の視点は、まだ途中だった。

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