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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第70話「届かなかった“卒業式”」

卒業式後。

最後のHRが終わった教室。

泣き声。

笑い声。

写真。

寄せ書き。

“終わった”という実感が、 少しずつ広がっていた。

龍也はもう完全に涙腺崩壊していた。

龍也

「むりぃぃぃぃ……」

瑠姫愛

「泣きすぎでしょ」

でも。

瑠姫愛の目も赤い。

結衣は女子同士で写真を撮っていた。

一将は静かにその様子を見ている。

玲緒菜は窓際で、 卒業証書の筒を見つめていた。

終わった。

高校生活。

その時だった。

担任

「……あー、そうだ」

教室の空気が少し止まる。

担任は教卓の上に、 二通の封筒を置いた。

「茉優と兼次郎から」

玲緒菜

「え?」

龍也

「手紙?」

担任

「“卒業式出れない代わりに、最後に読んでください”だと」

一気に空気が静かになる。

茉優。

兼次郎。

もう東京で大学準備を始めている二人。

でも。

本当は今日、 一緒に卒業したかったはずだ。

担任

「……誰読む?」

龍也

「俺読む」

瑠姫愛

「絶対途中で泣くじゃん」

龍也

「もう泣いてるわ!!」

教室に少し笑いが起きる。

でも。

その笑いも、 どこか寂しい。

担任はまず、 茉優の封筒を開けた。

「じゃあ読むぞ」

教室が静まる。

担任

『三年A組のみんなへ!』

その瞬間。

もう“茉優の声”で再生された。

担任

『まず最初に! 卒業式行けなくてごめん!!』

クラスから小さな笑い。

『本当は絶対みんなと写真撮りたかったし、最後一緒に帰りたかった!』

玲緒菜の胸が少し締め付けられる。

『でも、先に東京来たのは後悔してません!』

『だって夢のスタートだから!』

茉優らしい。

前向きで。

真っ直ぐで。

『でもね。』

担任の声が少しゆっくりになる。

『このクラスじゃなかったら、私は途中で絶対折れてました。』

静かになる教室。

『模試で病んだ時も。』

『恋愛で騒いでた時も。』

『進路で泣きそうだった時も。』

『みんながいたから笑えました。』

瑠姫愛が俯く。

結衣は口元を押さえていた。

担任

『特に玲緒菜!』

玲緒菜

「え、私?」

担任

『補欠の時、ほんとは一番不安だったのに、周りに気遣ってたの気付いてたよ。』

玲緒菜の目が揺れる。

『だから最後受かった時、東京で普通に泣いた。』

龍也

「うわぁぁぁ……」

もうダメだった。

担任

『みんな、大好きです!』

『卒業おめでとう!!』

教室が静まり返る。

そして。

次。

兼次郎の手紙。

龍也

「うわ絶対重い」

担任

「偏見やめろ」

少し笑いが起きる。

でも。

みんなもう涙を堪え始めていた。

担任が封筒を開ける。

『三年A組のみんなへ。』

兼次郎らしい、 丁寧な字。

『まずは卒業おめでとう。』

『直接言えないのが少し残念です。』

静かな文章。

でも。

だからこそ刺さる。

『高校三年間。』

『正直、楽しいだけじゃありませんでした。』

玲緒菜は顔を上げる。

『苦しい時も、逃げたくなった時もありました。』

『でも、そのたびに誰かが隣にいました。』

龍也が俯く。

担任

『龍也の馬鹿みたいな明るさ。』

『瑠姫愛の優しさ。』

『結衣の真面目さ。』

『一将の冷静さ。』

『雷斗の不器用な言葉。』

そして。

『玲緒菜の、“誰かを置いていかない強さ”。』

玲緒菜の涙が落ちる。

担任

『あの教室だったから、ここまで来れました。』

教室の空気が、 もう限界だった。

担任

『卒業しても、きっと人生は上手くいかない事ばかりです。』

『でも。』

『この三年間を思い出せば、少しは前を向ける気がします。』

龍也

「っ……」

担任

『みんなと出会えて、本当に良かった。』

『卒業、おめでとう。』

『また会おう。』

読み終わる。

沈黙。

そして――。

龍也

「むりだってぇぇぇぇ……!!」

完全崩壊。

瑠姫愛も泣いていた。

結衣も。

玲緒菜も。

担任ですら、 少し目を逸らしていた。

一将が静かに言う。

「……ずるいな」

玲緒菜

「来てないのに一番泣かせるじゃん……」

涙混じりの笑い。

でも。

分かっていた。

茉優も。

兼次郎も。

この教室に確かにいた。

一緒に笑って。

悩んで。

未来を語って。

ここまで来た。

卒業式には来られなかった。

でも。

ちゃんと“同じ卒業”だった。

春の光が、 教室へ差し込む。

三年間の思い出が、 静かに終わりを迎えていた。

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