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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第63話「止まったままの通知」

三月下旬。

補欠合格。

その言葉は、 思っていた以上に曖昧だった。

“希望がある”

でも。

“安心はできない”。

玲緒菜は、 毎朝スマホを見る癖がついていた。

通知。

メール。

大学サイト。

何度確認しても、 画面は変わらない。

篠田玲緒菜

「……まだか」

自分でも分かっていた。

数日で変わるものじゃない。

でも。

待つしかない時間は、 想像以上に苦しかった。

春休み。

学校には、 もう人が少ない。

卒業式も終わった。

教室の空気は、 どこか抜け殻みたいだった。

玲緒菜は窓際の席に座りながら、 外を見ていた。

校庭。

部活。

笑い声。

全部が少し遠い。

ガラッ。

教室の扉が開く。

武田雷斗。

雷斗はいつものように、 無言で隣に座った。

玲緒菜

「……今日も来たの?」

武田雷斗

「悪いか」

「いや、別に」

少しだけ沈黙。

雷斗が缶コーヒーを机に置く。

「ほら」

玲緒菜は少し笑う。

「ブラック飲めないんだけど」

「知ってる」

雷斗がもう一本、 ミルク多めの缶を出す。

玲緒菜

「最初からそっち渡してよ」

武田雷斗

「ネタ」

思わず吹き出す。

久しぶりに、 自然に笑った気がした。

でも。

笑ったあと、 また不安が戻る。

玲緒菜

「……怖いんだよね」

雷斗は何も言わない。

玲緒菜は続けた。

「期待して、落ちたらどうしようって」

声が小さい。

「“補欠”ってさ……」

「待ってればいいのか、 諦めればいいのか分かんない」

雷斗は窓の外を見る。

しばらくして。

静かに言った。

「まだ終わってないなら、 終わった顔すんな」

玲緒菜は目を丸くする。

「お前、最後まで足掻いてただろ」

「今さら途中で止まんな」

不器用。

でも。

その言葉は、 真っ直ぐだった。

玲緒菜は小さく俯く。

「……うん」

その時。

教室の扉がまた開いた。

天野一将。

結衣。

瑠姫愛。

龍也。

全員集合。

龍也

「なんか暗くね?」

結衣

「空気重い!」

瑠姫愛が玲緒菜の前に座る。

「ねえ、今から遊び行こ」

玲緒菜

「え?」

「待ってるだけだと病むよ」

結衣も頷く。

「受験終わったんだから、 一回くらい息抜き必要」

一将が静かに言う。

「それに」

全員が見る。

「玲緒菜だけ置いて、 春始める気ないし」

空気が止まる。

玲緒菜の目が揺れる。

龍也

「お前が決まるまで、 まだ“全員終了”じゃねーから」

その瞬間。

玲緒菜はとうとう笑ってしまった。

涙を滲ませながら。

「……重いんだけど、みんな」

結衣

「今さら?」

教室に笑い声が広がる。

まだ結果は出ていない。

まだ不安はある。

でも。

一人じゃない。

春はきっと、 もうすぐそこまで来ていた。

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