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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第58話「出願」

二月初旬。


学校。


受験生たちは、 ついに“出願”の時期を迎えていた。


教室には願書。

募集要項。

赤本。


完全に受験本番の空気。


結衣は願書を前に固まっていた。

結衣

「……本当に出すんだ」


東大教育学部。

第一志望。


何度も書いた大学名。

でも。

実際に願書へ書くと、 急に現実感が増す。


龍也が苦笑する。

龍也

「今さら?」

「だって怖いもん!」


瑠姫愛も静かに願書を書いていた。

瑠姫愛

早稲田大学法学部。


手が少し震える。


夢だった大学。

そこへ挑む。


文字を書くたび、 心臓が速くなる。


その時。

兼次郎が静かに言った。

兼次郎

「出したら戻れない」


空気が少し止まる。


現実。


出願とは、 覚悟を決めること。


結衣が小さく言う。

「……怖い」


一将が隣で普通に願書を書いている。

天野一将

結衣が見る。

「なんでそんな冷静なの」

「出すだけだから」

「メンタルどうなってるの!?」


でも。

一将の静けさに、 少し救われる。


一方。

普通科。


玲緒菜も京大の願書を書いていた。

篠田玲緒菜

京都大学。

その文字を見つめる。


以前なら、 遠い存在だった。

でも。

今は違う。


ここまで来た。

雷斗が隣で出願書類を確認している。

武田雷斗

玲緒菜が小さく笑う。

「本当に京大受けるんだね、私」


雷斗は短く答える。

「今さら何言ってる」

「なんか実感出てきた」


玲緒菜は願書を見つめる。


E判定で泣いた日。

文化祭。

共通テスト。


全部、 ここへ繋がっている。


昼休み。

屋上。


今日はいつも以上に静かだった。


願書提出。

それはつまり。

“本番が近い”

ということ。


結衣が空を見る。

「受験ってさ」

「ん?」

「覚悟決める瞬間多すぎない?」


龍也が笑う。

「今さら?」


でも。

みんな少し分かっていた。


模試。

共通テスト。

出願。


そのたびに、 現実が近づいてくる。


茉優が小さく言う。

茉優

「でも、ここまで来たんだね」


誰も否定しなかった。


放課後。

職員室前。


受験生たちが願書提出へ並んでいる。


静かな列。

でも。

空気はかなり重い。


結衣は封筒を握る。

少し汗ばんでいる。


「……行ってきます」


一将が隣で普通に歩く。

「職員室だぞ」

「分かってるよ!」


でも。

それくらい緊張していた。

担任へ願書を渡す。


「はい、確かに」


その瞬間。

本当に戻れなくなった気がした。


玲緒菜も願書を提出する。


先生が静かに頷く。

「頑張れよ」


玲緒菜は強く頷いた。

「はい」


短い返事。

でも。

そこには確かな覚悟があった。


夜。

帰り道。


冬の空。

かなり冷たい。


結衣が小さく息を吐く。

「出しちゃった……」

一将が隣を歩く。

「今さら取り消すなよ」

「しないよ!」


少し笑う。

でも。

胸の奥は熱かった。


受験票。

願書。

志望校。


全部、 夢じゃなく現実になった。


次に待っているのは

本当の本番だった。

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