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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第55話 「自己採点」

共通テスト終了翌日。

学校。

朝。

教室は異様な空気だった。

静か。

でも。

張り詰めている。

机の上には問題冊子。

自己採点用紙。

スマホ。

誰もが、 昨日の結果に怯えていた。

結衣は席へ座ったまま、 答案を見つめていた。

結衣

手が冷たい。

「……無理かも」

小さい声。

龍也が隣で苦笑する。

龍也

「まだ採点前だろ」

「怖いんだって……!」

怖い。

かなり怖い。

共通テストは終わった。

つまり。

“結果”が数字になる。

結衣は深呼吸して、 自己採点を始める。

英語。

国語。

世界史。

点数を書き込むたび、 心臓が重くなる。

そして。

数学。

手が止まる。

「……え」

一問。

マークミス。

顔が青くなる。

もう一度見る。

でも。

変わらない。

「うそ……」

声が震える。

一将が視線を向ける。

天野一将

「どうした」

結衣は採点表を握る。

「数学……やったかも」

教室の空気が少し止まる。

結衣は震える声で言った。

「一個ズレてる……」

最悪だった。

途中までは解けていた。

でも。

マークが一列ズレている。

頭が真っ白になる。

その後も採点を続ける。

でも。

もう集中できない。

結果。

東大教育学部ボーダー。

——ぎりぎり。

結衣は採点表を見つめたまま動かなかった。

「……低い」

想像より悪かった。

夏から頑張った。

文化祭後も、 ずっと勉強した。

でも。

本番で崩れた。

涙が滲む。

「私……落ちるかも」

その声が、 かなり弱かった。

一将は静かに採点表を見る。

少し沈黙。

そのあと。

「まだ切れてない」

結衣が顔を上げる。

「ぎりぎりでも残ってる」

「でも……!」

結衣は俯く。

「もっと取るつもりだった」

「A判定だったのに」

悔しい。

怖い。

情けない。

全部混ざっていた。

その時。

兼次郎が静かに言った。

兼次郎

「共通テストで崩れる奴は毎年いる」

全員少し見る。

「大事なのは二次まで引きずるか」

現実的だった。

でも。

受験生として、 正しい言葉だった。

結衣は唇を噛む。

(切り替えなきゃ)

分かってる。

でも。

心が追いつかない。

放課後。

自習室。

今日は空気が重かった。

笑っている人が少ない。

高得点の人。

崩れた人。

想像通りだった人。

結果が、 少しずつ現実になる。

結衣は数学のノートを開いていた。

でも。

手が止まる。

“もし落ちたら”

その言葉が頭から離れない。

一将が隣へ座る。

「止まってる」

結衣は小さく言う。

「……怖い」

「二次も失敗したらって考える」

「もう自信ない」

今まで積み上げてきたものが、 一気に崩れそうだった。

一将は少し黙る。

そして。

「崩れてもやるしかない」

結衣が俯く。

「受験ってそういうもんだろ」

厳しい。

でも。

逃げ道を作らない言葉だった。

そのあと。

少しだけ声を柔らかくする。

「お前、ここまでやってきた」

結衣が止まる。

「今さら、自分で否定するな」

静かな声。

でも。

かなり真っ直ぐだった。

結衣は目を閉じる。

涙が少し落ちる。

悔しい。

怖い。

でも。

終わりたくない。

夜。

帰り道。

冬の風が冷たい。

結衣は空を見上げる。

「……受験って苦しいね」

一将が隣を歩く。

「今さら」

「そうだけど!」

少し笑う。

でも。

その笑顔は少し弱い。

共通テストは終わった。

でも。

戦いはまだ続く。

そして今。

結衣は初めて、 本当の“スランプ”へ入り始めていた。

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