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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第49話 「揺れる空気」

玲緒菜のE判定から数日後。

学校。

秋の空気は、 以前よりさらに重くなっていた。

模試。

過去問。

判定。

受験生たちは今、 “現実”を見始めている。

朝。

超難関進学コース。

結衣は教室へ入るなり言った。

結衣

「最近空気重くない!?」

龍也が苦笑する。

龍也

「秋だからな」

「季節みたいに言うな!」

でも。

否定はできない。

以前より、 みんな少し静かだった。

瑠姫愛も参考書を閉じながら言う。

瑠姫愛

「最近、判定上下した人多いよね」

その言葉で、 空気が少し止まる。

受験は安定しない。

A判定でも崩れる。

E判定でも受かる人はいる。

でも。

心はそんな簡単じゃない。

結衣が小さく言う。

「玲緒菜、大丈夫かな」

一方。

普通科。

玲緒菜は普段通りを装っていた。

篠田玲緒菜

笑う。

話す。

授業を受ける。

でも。

以前より少し静かだった。

昼休み。

玲緒菜は一人で問題集を開いていた。

解く。

消す。

また解く。

焦っていた。

取り返さなきゃ。

戻さなきゃ。

その時。

椅子が引かれる音。

雷斗だった。

武田雷斗

「また詰め込みか」

玲緒菜が苦笑する。

「やらないと不安」

雷斗は問題集を見る。

「焦って雑になってる」

図星だった。

玲緒菜は少し俯く。

「……怖いんだもん」

小さい声。

「また落ちたらって思う」

雷斗は少し黙る。

そして。

「なら落ち着け」

玲緒菜が顔を上げる。

「焦って崩れたのに、また焦るな」

静かな声。

でも。

かなり真っ直ぐだった。

玲緒菜は少し笑う。

「簡単に言う」

「難しいの知ってる」

少し沈黙。

そのあと。

雷斗が小さく言った。

「でも、お前なら戻せる」

玲緒菜が止まる。

“戻せる”

その言葉が、 思った以上に胸へ響いた。

放課後。

自習室。

今日は珍しく、 少し空気が荒れていた。

ある男子が机へ突っ伏している。

「判定落ちた……」

別の生徒も言う。

「俺も」

重い。

かなり重い。

結衣が小さく呟く。

「受験怖……」

一将は問題を解きながら答える。

天野一将

「秋だから」

「みんなそれ言う!」

でも。

一将の表情も、 少しだけ真剣だった。

兼次郎が静かに口を開く。

兼次郎

「今崩れる奴は多い」

全員少し見る。

「夏の反動が来る」

「結果も見え始める」

「焦りも増える」

茉優が小さく聞く。

茉優

「じゃあ、どうすればいいの?」

兼次郎は静かに答えた。

「崩れたあと、戻れるか」

その一言が、 教室へ静かに落ちた。

夜。

帰り道。

結衣が空を見る。

「受験ってメンタル勝負なんだね」

一将が隣を歩く。

「最後はそう」

「勉強だけじゃない」

その言葉は、 妙に現実的だった。

玲緒菜も夜空を見上げる。

E判定はまだ怖い。

不安も消えない。

でも。

(ここで終わりたくない)

その気持ちだけは、 まだ消えていなかった。

秋は、 受験生を揺らす。

でも。

揺れながらでも、 前へ進くしかない。

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