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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第47話 「過去問」

十月中旬。

放課後。

自習室。

空気は重かった。

文化祭が終わってから、 学校全体の空気が完全に変わった。

誰も浮かれていない。

誰も騒がない。

聞こえるのは、

シャーペンの音

ページをめくる音

小さなため息

それだけ。

結衣は赤本を前に固まっていた。

結衣

「……東大って何?」

龍也が吹き出す。

龍也

「今さら?」

「問題作った人怖すぎる!」

瑠姫愛も苦笑する。

瑠姫愛

「早稲田も普通に難しいよ……」

机の上には、 それぞれの第一志望大学の赤本。

もう、 “受験勉強”じゃない。

“入試対策”。

現実が近い。

一将は静かに問題を解いていた。

天野一将

結衣が覗き込む。

「なんでそんな解けるの……」

「慣れ」

「その域行きたい……」

結衣は再び問題を見る。

英語長文。

意味は分かる。

でも。

設問が鋭い。

(夏よりは出来る)

それは分かる。

でも。

合格レベルかと言われると、 まだ怖い。

その頃。

玲緒菜も京大過去問と戦っていた。

篠田玲緒菜

数学。

三十分。

進まない。

「……無理」

小さく呟く。

雷斗が隣を見る。

武田雷斗

「止まるな」

「でも解けない……」

玲緒菜は少し俯く。

「模試と違う」

「過去問怖い」

本番の問題。

本物の京大。

その重さが、 想像以上だった。

雷斗は問題を見る。

そして。

「途中まで合ってる」

玲緒菜が顔を上げる。

「え」

「式変形ミス」

「そこ直せ」

玲緒菜が見返す。

——本当だ。

あと少しだった。

「……うそ」

「勝手に無理判定するな」

玲緒菜は少し笑った。

でも。

心臓はまだ速い。

放課後後半。

空気はさらに静か。

兼次郎が法学部小論文を書いている。

兼次郎

茉優は教育学部の記述。

茉優

龍也と瑠姫愛は過去問分析。

全員、 完全に受験生だった。

結衣が小さく呟く。

「なんかさ」

「ん?」

「文化祭、遠い昔みたい」

その言葉に、 少し静けさが落ちる。

まだ一週間くらいしか経ってない。

でも。

気持ちはもう、 全然違う場所にいた。

帰り道。

夜。

結衣は少し疲れた顔だった。

「今日ボコボコにされた……」

一将が隣を歩く。

「初見ならそんなもん」

「一将くん基準やめて?」

少し沈黙。

そのあと。

結衣が小さく言う。

「……怖いね」

一将が見る。

「本当に受験近いんだって感じする」

その声は、 少し弱かった。

一将は少し考える。

そして。

「怖くて普通」

結衣が止まる。

「簡単なら、みんな受かる」

静かな声。

でも。

すごく現実的だった。

結衣は苦笑する。

「厳しい」

「でも逃げるな」

その言葉に、 結衣は少し笑った。

「……うん」

受験は、 確実に近づいている。

過去問は、 現実を突きつけてくる。

でも。

怖いからこそ、 彼らは前へ進く。

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