第46話 「文化祭のあと」
文化祭終了から三日後。
月曜日。
朝。
☆
学校は驚くほど静かだった。
☆
数日前までの、
音楽
笑い声
装飾
熱気
それが全部消えている。
☆
廊下から文化祭の飾りも外され、 いつもの校舎へ戻っていた。
でも。
“いつも”には戻っていなかった。
☆
結衣は教室へ入るなり言った。
結衣
「文化祭返して……」
龍也が苦笑する。
龍也
「文化祭ロス重症だな」
「静かすぎるの!」
☆
瑠姫愛も窓の外を見る。
瑠姫愛
「なんか急に現実戻ってきた感じする」
☆
その言葉に、 何人かが静かに頷く。
☆
文化祭が終わった。
つまり。
次はもう、 受験へ一直線。
☆
その時。
担任が教室へ入る。
黒板へ書く。
——共通テストまで96日
☆
教室の空気が変わる。
☆
結衣が崩れ落ちる。
「二桁ぉぉ!?!?」
一将が静かに参考書を開く。
天野一将
「減ったな」
「冷静すぎる!」
☆
普通科。
玲緒菜も黒板を見て固まっていた。
篠田玲緒菜
「96日……」
文化祭中は忘れていた。
でも。
現実は止まっていない。
☆
雷斗が隣へ座る。
武田雷斗
「切り替えろ」
玲緒菜が苦笑する。
「早いよぉ……」
☆
でも。
雷斗の机には、 もう赤本が開かれていた。
☆
昼休み。
屋上。
☆
以前より、 少し静か。
☆
結衣がパンを食べながら呟く。
「文化祭終わったら急に寂しくなった」
龍也も頷く。
「分かる」
☆
瑠姫愛が小さく笑う。
「でも終わったからこそ、楽しかったって思えるのかも」
☆
その言葉で。
一瞬、 第44話の一将の言葉が重なる。
——終わるから覚えてる。
☆
結衣が少し空を見る。
「……高校生活って短いね」
☆
誰も否定しなかった。
☆
放課後。
自習室。
☆
空気は完全に変わっていた。
文化祭前より、 さらに静か。
☆
誰も喋らない。
ただ、 問題を解く音だけ。
☆
結衣は英語長文。
一将は東大数学。
龍也は現代文。
瑠姫愛は世界史論述。
☆
玲緒菜は京大過去問。
☆
赤本を開く。
問題を見る。
難しい。
☆
文化祭の楽しい余韻。
でも。
現実は甘くない。
☆
玲緒菜は小さく息を吐く。
「……難し」
その時。
隣から声。
☆
「去年の第二問」
雷斗だった。
☆
「そこ、条件整理先」
玲緒菜が少し笑う。
「またそれ」
「基本」
☆
でも。
その言葉で、 少し落ち着く。
☆
夜。
帰り道。
秋風。
少し寒い。
☆
文化祭が終わった学校は、 どこか寂しかった。
でも。
彼らは立ち止まれない。
☆
結衣が歩きながら言う。
「次の楽しみ何?」
龍也が苦笑する。
「受験終わり」
「重い!」
☆
瑠姫愛が笑う。
「でも、そこまで行きたいね」
☆
その言葉に、 みんな少し静かになる。
☆
受験の先。
大学。
未来。
別々の道。
☆
でも今はまだ、 同じ場所で戦っている。
玲緒菜は空を見る。
文化祭は終わった。
青春の一ページが閉じた。
でも。
物語はまだ終わらない。
次は
“未来”を掴む戦いだった。




