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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第44話 「文化祭の夜」

文化祭初日終了。

夕方。

校内はまだ熱気が残っていた。

片付けをする生徒。

笑い声。

写真撮影。

疲れたーという声。

でも。

誰もすぐ帰ろうとしない。

高校最後の文化祭。

この時間が、 特別だと分かっているから。

結衣は廊下に座り込んでいた。

結衣

「つかれたぁぁ……」

完全に電池切れ。

そこへ。

一将がスポーツドリンクを差し出す。

天野一将

「はい」

結衣が受け取る。

「神……」

一将は隣へ座る。

少し沈黙。

結衣が小さく笑う。

「実行委員、大変だけど楽しい」

「顔に出てる」

「そんな分かりやすい?」

「ずっと騒いでる」

「否定できない!」

でも。

そのあと。

結衣は少し静かになった。

「……終わるの嫌だな」

一将が見る。

結衣は廊下の先を見る。

夕焼け。

文化祭の装飾。

笑い声。

「ずっと続けばいいのにって思う」

その声は、 少し寂しそうだった。

一将は少し黙る。

そして。

「終わるから覚えてる」

結衣が止まる。

「ずっとあると、普通になる」

静かな声。

結衣は少し笑った。

「……今日なんか哲学っぽい」

「気のせい」

でも。

その言葉は、 妙に胸へ残った。

その頃。

中庭。

玲緒菜たちはクラスの片付け中だった。

篠田玲緒菜

「よいしょっ」

段ボールを運ぶ。

雷斗も無言で作業。

武田雷斗

周囲の男子が笑う。

「雷斗、文化祭なのに労働力高すぎ」

「怖い顔で釘打つなって」

玲緒菜が吹き出す。

「確かにちょっと怖かった」

雷斗が即答。

「うるさい」

でも。

どこか楽しそうだった。

片付け後。

校舎裏。

少し静かな場所。

玲緒菜が空を見る。

夕方から夜へ変わる空。

「……綺麗」

その横に、 雷斗が立つ。

しばらく無言。

でも。

嫌じゃない沈黙だった。

玲緒菜が小さく言う。

「今日、楽しかったね」

「ん」

「なんか普通の高校生っぽかった」

雷斗は少し空を見る。

そして。

「普通だろ」

玲緒菜が笑う。

「雷斗くん全然普通じゃない」

「どっちだよ」

笑い合う。

短い時間。

でも。

すごく自然だった。

その時。

遠くから校内放送。

『完全下校時刻です』

玲緒菜が少し寂しそうに笑う。

「終わっちゃう」

雷斗は静かに言う。

「明日もある」

「……そうだった」

でも。

“最後の文化祭”が、 終わりへ近づいている感覚は消えない。

夜。

帰り道。

結衣は実行委員資料を抱えながら歩いていた。

「明日も朝早い……」

一将が隣を歩く。

少し沈黙。

そのあと。

一将が小さく言った。

「今日、楽しそうだった」

結衣が止まる。

「……え」

「実行委員やってる時」

結衣は少し照れながら笑う。

「だって楽しいもん」

「知ってる」

その言い方が、 少し優しかった。

秋の夜風。

文化祭の余韻。

少しだけ疲れた身体。

でも。

心は不思議なくらい満たされていた。

高校生活は、 終わりへ向かっている。

だからこそ。

今この時間が、 どうしようもなく愛しかった。

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