表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

142/434

第42話 「前夜祭みたいな放課後」

文化祭まであと一週間。

学校は完全にお祭り状態だった。

廊下には装飾。

教室には段ボール。

放課後になっても、 誰もすぐ帰らない。

受験生の学校とは思えないくらい、 騒がしかった。

放課後。

超難関進学コース。

結衣は机に大量の紙を広げていた。

結衣

「無理ぃぃ……」

龍也が笑う。

龍也

「実行委員忙しそうだな」

「想像の五倍ブラック!」

瑠姫愛も苦笑する。

瑠姫愛

「でも結衣ちょっと楽しそう」

「……バレた?」

その時。

一将が資料を持って戻ってくる。

天野一将

「ステージ使用表」

「ありがとう!」

結衣は資料を受け取る。

その時、 ふと一将の手を見る。

インク汚れ。

段ボールの擦れ傷。

(……ちゃんと一緒に頑張ってくれてるんだ)

少し胸が温かくなる。

一方。

普通科。

玲緒菜たちも準備真っ最中。

教室では巨大背景制作。

玲緒菜は絵の具まみれだった。

篠田玲緒菜

「うわっ!?」

筆が滑る。

青い絵の具が制服へ。

周囲が笑う。

「玲緒菜やば!」

「文化祭感あるー!」

その時。

後ろからタオルが飛んできた。

雷斗。

武田雷斗

「使え」

玲緒菜が受け取る。

「ありがと」

雷斗は普通に木材を運び始める。

玲緒菜は少し笑った。

周囲の女子たちがヒソヒソ。

「雷斗くん優しくない?」

「いや絶対玲緒菜限定でしょ」

玲緒菜が赤くなる。

「聞こえてるから!?」

夕方。

校内放送。

『各クラス、完全下校時刻を守ってください』

でも。

誰も帰りたがらない。

文化祭前の放課後。

この空気が、 特別なのをみんな知っていた。

中庭。

結衣は資料を抱えながら歩いていた。

「疲れたぁ……」

その隣を一将が歩く。

少し沈黙。

そのあと。

結衣が聞く。

「一将くんってさ」

「ん」

「高校生活、楽しかった?」

一将は少し考える。

珍しく、 すぐ答えなかった。

「……前よりは」

結衣が少し止まる。

「前より?」

「今」

短い。

でも。

意味は十分伝わった。

結衣の顔が熱くなる。

「急にそういうのやめて!」

「何が」

「天然怖い!!」

一方。

玲緒菜たちは作業終了後、 教室に座り込んでいた。

疲れ切っている。

でも。

どこか心地いい。

玲緒菜が窓の外を見る。

夕焼け。

オレンジ色の校舎。

騒がしい運動部。

笑い声。

「……終わっちゃうんだね」

小さく漏れる。

雷斗が隣へ来る。

「何が」

「高校」

少し静寂。

玲緒菜は続ける。

「受験終わったら、みんな別々かもしれない」

「大学違うし」

その言葉には、 少し寂しさが混じっていた。

雷斗は窓の外を見る。

そして静かに言った。

「まだ終わってない」

玲緒菜が少し笑う。

「それ前も聞いた」

「事実」

でも。

その言葉が少し嬉しい。

帰り道。

夜風。

秋の匂い。

文化祭前の学校は、 どこか“前夜祭”みたいだった。

楽しい。

騒がしい。

でも。

その奥で、 終わりが近づいているのを感じる。

だからこそ。

今が、 少しだけ眩しかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ