第34話「第二回目の判定の結果」
模試から二週間後。
朝。
教室の空気は異様だった。
理由は一つ。
模試結果の返却。
結衣は朝から落ち着かなかった。
結衣「無理、無理、無理やねんって!」
龍也が笑う。
龍也「今日、ずっと言ってないか?」
「だって人生がかかってるもん!」
瑠姫愛も少し緊張してた。
瑠姫愛「結果見るっていやだよね!緊張するわ!」
一方。
一将はいつも通りだった。
一将は普通に参考書を読んでいる。
結衣が指差す。
「なんでそんな平然としてるの?」
「もう結果なんて変わらないから。」
「みんなメンタル強すぎるねん!」
普通科側。
玲緒菜は机に突っ伏せていた。
玲緒菜「もう結果なんか見たくない!」
雷斗は短く言う。
雷斗「見るしかないやろ?」
「正論を言うのをやめてよね!」
チャイム。
担任が入ってくる。
教室が静まり返る。
「はい、模試の結果返すぞ!」
その瞬間。
空気が一気に重くなった。
一人ずつ配られる成績表。
紙一枚。
でも。
そこには今の自分が全部出る。
結衣。
震える手で封筒を開ける。
「…」
固まる。
龍也が覗こうとする。
「どうだった?」
結衣がゆっくり顔を上げる。
「…東大A判定だった!」
一瞬静止。
「え、えええ!?」
教室が揺れた。
結衣本人が一番驚いてる。
「噓でしょ?ほんとうに!?」
一将が横を見る。
「だから大丈夫って言ったじゃん!」
「絶対、無理だと思ってた!」
でも。
目は少し潤んでいた。
瑠姫愛も結果を見る。
「…噓でしょ?マジで早稲田A判定なんだけど?」
龍也が笑う。
「さすが瑠姫愛やな!」
「さすがにまだ怖いわ!」
瑠姫愛は小さく息を吐いた。
龍也。
早稲田A判定。
「よし…」
小さくガッツポーズ。
茉優。
慶応A判定。
兼次郎。
当然のように慶応A判定。
結衣が兼次郎を見る。
「兼次郎くん、絶対動じないよね!」
兼次郎は普通に答える。
「まだ受験じゃないし、ただの模試だからな!」
「かっこよすぎて腹が立つ!」
龍也が吹く出した。
その頃。
普通科。
玲緒菜は、まだ封筒を開けられずにいた。
雷斗が見る。
「玲緒菜、早く開けろよ!」
「怖い」
「逃げずに現実を受け入れろよ!」
玲緒菜は深呼吸する。
そして。
ゆっくり封筒を開けた。
視線が判定欄へ落ちる。
京都大学文学部、判定Aだった。
玲緒菜、固まる。
「…え、嘘でしょ?」
頭が追いつかない。
もう一回見る。
間違ってない。
A判定。
「嘘!A判定!」
小さく震える声。
雷斗が結果を見る。
そして短く言った。
「頑張ったな!玲緒菜!」
玲緒菜は完全に目を潤ませる。
「…ほんとに?」
「お前の結果だろ?」
玲緒菜は笑いながら泣きそうになった。
「っ…」
夏。
ずっと怖かった。
置いて行かれる気がしていた。
でも。
ちゃんと前へ進めていた。
「雷斗くん」
「ん?」
「ありがと!
雷斗は少しだけ目を逸らす。
「まだ終わっていない。」
でも。
その声は優しかった。
そして。
雷斗自身も、京大A判定。
放課後。
屋上。
みんな集まる。
結果報告会。
結衣がまだ騒いでいた。
「A判定って本当に実在するんだね!」
一将が呆れる。
「昨日までE判定みたいな顔してたのにさ」
「私は心が弱いの!」
玲緒菜もまだ信じられない顔だった。
「私ほんとに京大A……?」
瑠姫愛が笑う。
「努力したもん」
☆
兼次郎が静かに言う。
「夏の成果だな」
その言葉に、 全員少し黙る。
☆
夏。
遊びたい日もあった。
逃げたくなる日もあった。
それでも。
積み重ねてきた。
☆
その結果が、 今日初めて形になった。
☆
夕焼けの屋上。
結衣が空を見ながら笑う。
「……なんか、ちょっとだけ自信出たかも」
誰も否定しなかった。
この夏。
彼らは確かに強くなっていた。




