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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第32話 「第2回、模試前夜」

九月目前。

夏休み最後の大型模試まで、 あと一日。

学校の自習室。

夜。

窓の外はもう暗い。

それでも、 帰る生徒は少なかった。

受験生たちは、 最後の確認を続けている。

結衣は机へ突っ伏していた。

結衣

「もう無理……」

一将が問題集を閉じる。

天野一将

「五回目」

「数えてたの!?」

龍也が笑う。

龍也

「でも分かる。模試前って変に緊張するよな」

瑠姫愛も頷いた。

瑠姫愛

「夏頑張った分、結果見たくないかも」

その言葉に、 何人かが静かになる。

努力したからこそ怖い。

もし結果が悪かったら。

この夏は意味がなかったのか。

そんな不安が、 誰の中にもあった。

玲緒菜も参考書を見つめたまま動かない。

篠田玲緒菜

雷斗が隣を見る。

武田雷斗

「止まってる」

玲緒菜がため息をつく。

「……怖い」

珍しく、 素直だった。

「B判定のままだったらどうしようって思う」

雷斗は静かに聞いている。

玲緒菜は続けた。

「みんなA判定なのに」

「私だけ置いてかれたらって」

少し沈黙。

そのあと。

雷斗が静かに言う。

「お前、周り見すぎ」

玲緒菜が顔を上げる。

「比べても意味ない」

「昨日のお前と比べろ」

短い。

でも。

雷斗らしい言葉だった。

玲緒菜は少しだけ笑う。

「……なんか先生みたい」

「嫌か」

「ちょっと悔しい」

雷斗が小さく笑った。

かなり珍しい。

一方。

別の席。

結衣は英単語帳を抱えていた。

「東大英語怖い……」

一将が普通に答える。

「いつもの」

「その“いつもの”が怖い!」

結衣は小さく俯く。

「……でもさ」

「ん」

「もし判定落ちたらどうする?」

一将は少し考える。

そして。

「また上げる」

即答。

結衣が止まる。

「そんな簡単に言う?」

「判定は途中経過」

「……」

「本番じゃない」

静かな声。

でも。

その言葉は強かった。

結衣は少し笑う。

「一将くんって、ほんとブレないね」

「結衣がブレすぎ」

「否定できない!」

夜九時。

自習室終了時間。

みんな荷物をまとめ始める。

疲労感はすごい。

でも。

どこか空気は前向きだった。

帰り際。

兼次郎が静かに言った。

兼次郎

「模試は確認だ」

全員が見る。

「今できることと、足りない部分を見るだけ」

「結果で浮かれるな」

「落ち込むな」

茉優が小さく笑う。

茉優

「兼次郎くんらしい」

龍也が伸びをする。

「でもさ」

「なんだかんだ、明日終わったら達成感ありそう」

瑠姫愛が笑う。

「夏の集大成だもんね」

外。

夜風。

少しだけ涼しい。

夏が終わり始めている。

玲緒菜は空を見上げる。

「……受験生の夏って、ほんと一瞬だね」

雷斗が隣で答える。

「まだ終わってない」

「うん」

玲緒菜は小さく笑った。

明日。

努力が数字になる。

それは怖い。

でも。

逃げたくはなかった。

この夏、 ちゃんと前へ進んできたから。

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