表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

131/434

第31話 「夏休み後半戦」

八月後半。

夏休みは、 まだ終わっていない。

でも。

空気はもう完全に“受験”だった。

朝六時半。

図書館前。

まだ人も少ない時間。

そこに玲緒菜はいた。

篠田玲緒菜

眠そうな顔。

でも手には英単語帳。

「……眠い」

小さく呟いた瞬間。

後ろから声。

武田雷斗

「遅い」

玲緒菜が振り返る。

「いや早いよ!?」

まだ開館十五分前。

雷斗は普通に席へ向かう。

玲緒菜が追いかける。

「なんでそんな元気なの」

「慣れ」

「その言葉万能すぎる」

二人は並んで座る。

朝の図書館。

静かな空気。

ページをめくる音だけ。

最初は集中していた。

でも。

一時間後。

玲緒菜の手が止まる。

「……分からん」

数学。

京大レベル。

完全に壁。

雷斗がノートを見る。

「ここ」

「んー……」

「条件整理」

玲緒菜は頭を抱える。

「京大って条件好きすぎない!?」

「大学に文句言うな」

でも。

雷斗は丁寧に説明する。

以前より、 ずっと自然だった。

玲緒菜は途中で気づく。

(……雷斗くん、めっちゃ教えるの上手くなってる)

一方。

別の自習室。

結衣は完全に瀕死だった。

結衣

「英語長文長すぎる……」

隣で一将が問題を解く。

天野一将

「まだ半分」

「聞きたくなかった!」

結衣は机へ突っ伏す。

「東大って人間に解かせる気ある?」

一将が静かに言う。

「ある」

「その即答怖い!」

しかし。

一将は結衣のノートを見る。

「前より読めてる」

結衣が止まる。

「……え」

「ミス減った」

短い。

でも。

ちゃんと見てくれている。

結衣は少し笑った。

「褒める時だけ破壊力高いのやめて」

一将は首を傾げる。

「事実」

「天然なのが一番危ない!」

午後。

ファミレス。

勉強組集合。

龍也がドリンクバーを持ってくる。

龍也

「はい、受験生セット」

瑠姫愛が笑う。

瑠姫愛

「ただのジュースだよ?」

結衣は参考書を見ながら唸る。

「集中切れた……」

茉優が優しく笑う。

茉優

「少し休憩しよっか」

兼次郎も頷く。

兼次郎

「休むのも必要」

結衣が驚く。

「兼次郎くんが優しい!?」

「何だと思ってる」

「勉強マシーン」

龍也が吹き出す。

少しして。

話題は模試へ変わる。

空気が少し変わった。

瑠姫愛が小さく呟く。

「次の模試、怖いな」

龍也も頷く。

「夏の結果出るもんな」

玲緒菜も静かになる。

“京大B判定”

あの文字が、 まだ頭から離れない。

その時。

兼次郎が静かに言った。

「夏は結果が出にくい」

全員が見る。

「今は積み重ねる時期だ」

「焦るな」

静かな声。

でも。

説得力がある。

雷斗も小さく言う。

「夏終わってから変わる」

玲緒菜が少し驚く。

「雷斗くんも同じこと言うんだ」

「事実」

結衣がジュースを飲みながら笑う。

「なんかさ」

「みんな受験生っぽくなったよね」

龍也が苦笑する。

「今さらすぎる」

でも。

確かにそうだった。

少し前まで、 “遠い未来”だった大学受験。

今はもう、 目の前まで来ている。

帰り道。

夕暮れ。

少しだけ涼しい風。

夏の終わりが近い。

玲緒菜は空を見ながら言う。

「来年の今頃って、何してるんだろ」

雷斗は隣を歩く。

「大学」

「受かればね」

「受かる」

玲緒菜が笑う。

「その自信どこから来るの」

雷斗は少しだけ玲緒菜を見る。

「努力してるから」

その言葉が、 胸に残った。

夏休み後半。

疲れもある。

不安もある。

でも。

彼らはまだ、 前を向いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ