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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第30話 「夏の終わりが近づく頃」

夏祭りから数日後。

学校。

夏期講習後半。

教室の空気は、 以前よりさらに張り詰めていた。

模試。

志望校判定。

過去問演習。

現実が、 どんどん近づいてくる。

朝。

超難関進学コース。

結衣は机へ突っ伏していた。

結衣

「……夏終わるの早すぎない?」

一将が問題集を開く。

天野一将

「まだ八月」

「受験生の八月は秒速なんだよ!」

龍也が笑う。

龍也

「でも祭り行ってから、ちょっと空気変わったよな」

瑠姫愛も頷く。

瑠姫愛

「前よりみんな集中してる気がする」

確かにそうだった。

遊んだからこそ。

息抜きしたからこそ。

また頑張れる。

そんな空気が、 全員にあった。

一方。

普通科。

玲緒菜は数学の問題と睨み合っていた。

篠田玲緒菜

「……意味分からん」

隣で雷斗が解いている。

武田雷斗

玲緒菜が唸る。

「京大ってなんでこんな問題出すの!?」

雷斗は静かに言う。

「考えさせるため」

「分かってるけどぉ……!」

雷斗は玲緒菜のノートを見る。

「ここ」

「ん?」

「途中で諦めてる」

玲緒菜が止まる。

図星だった。

難しい問題になると、 途中で“無理かも”と思ってしまう。

雷斗は静かに続ける。

「お前、前より解けてる」

玲緒菜が見る。

「……え」

「だから最後までやれ」

短い言葉。

でも。

玲緒菜には十分だった。

放課後。

自習室。

全員が黙々と勉強している。

シャーペンの音だけ。

静かな戦場。

結衣は英作文と戦っていた。

「無理……」

一将が横で答える。

「語順」

「その一言で分かるの怖い!」

龍也は参考書を閉じて息を吐く。

「受験ってメンタル勝負だな」

瑠姫愛が小さく笑う。

「今さら?」

「いや、ほんとに」

その時。

兼次郎が静かに言う。

兼次郎

「夏で崩れる奴は多い」

空気が少し変わる。

兼次郎は続ける。

「焦る」

「周りと比べる」

「判定に振り回される」

全員が黙る。

心当たりがある。

茉優が小さく聞く。

茉優

「じゃあ、どうしたらいいの?」

兼次郎は即答した。

「積み重ねる」

シンプルだった。

でも。

だからこそ重い。

「急に伸びる奴なんて少ない」

「毎日やった奴が最後に残る」

静かな声。

でも。

全員ちゃんと聞いていた。

帰り道。

夕焼け。

少し涼しい風。

夏の終わりが近づいている。

玲緒菜が空を見る。

「……なんか寂しいね」

雷斗が隣を歩く。

「何が」

「夏」

「まだ終わってない」

「でもさ」

玲緒菜は少し笑う。

「終わり始めてる感じする」

雷斗は少しだけ空を見る。

そして。

「終わるから意味ある」

玲緒菜が目を丸くする。

「……今日なんか名言多くない?」

「知らん」

「絶対ちょっとカッコつけてる」

「気のせい」

でも。

玲緒菜は笑った。

夏は終わっていく。

楽しい時間も、 いつか終わる。

それでも。

この夏で得たものは、 きっと消えない。

友情。

恋。

努力。

未来への覚悟。

全部が、 少しずつ彼らを変えていた。

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